人間の意地が活き活きと書かれています。
★★★★★
歴史の主役格である吉宗のかげで、とかく悪役仕立てに描かれる宗春。しかし、実際には単に吉宗に対して徒に放蕩生活をいやみたらしくみせつけるているのが宗春ではなく、そこにあるのは倹約と米価政策を押し進める将軍に対し、全く正反対の経済政策を身をもってすすめる宗春こそ正しい。この作品ではまさに登場人物が各々の立場から各々の方法で自分の主張を体現していく。そこにあるのは「意地」である。悲しくも雄々しくもある意地の世界。 宗春の姿を通して描くこの世界は非常に新鮮かつ豪放。