インテグラのこの言葉に集約されているような、人造吸血鬼たちに対す
る、窮地や瀕死の場にあっても「転ぶ」ことのない不屈さと、「人間
側」の(立場、思想は違えど)それぞれの矜持と生き様を見るような内
容でした。
また、マクスウェル昇格とアーカードの独白を見るに、総じて本作品が
人間(とそうでない者の)業を描いていると同時に人間賛歌でもあると
感じられました。
重厚さを増した画風と息つかせぬ戦闘シーンに、「お嬢とユダの愉快な
仲間たち」と銘打ちたくなるような挿話(?)とヘルシング邸での小休
止的やりとりが、ハラハラほのぼのとさせられる一方、ますます物語と
その展開から目を離せなくしています。
もう一度全巻を通読し、物語世界を見ていきたく思います。
なんといっても圧巻はロンドン上陸に成功したドイツ帝国陸軍の
兵士達のテーマとして、休みの国の「悪魔巣斗禁愚」が描かれるシーン。
平野氏も土方鉄人の『特攻任侠自衛隊』を見たのだろうか?
ここからヘルシング本部での攻防戦にいたるまでの展開は
マンガ史に残る名シーンだと思う。
そしてベルナドット、セラスらの『素敵なセリフ』の数々。
見敵必殺の一冊である。第7巻が今から楽しみ。
単に作者がカッコいいことを登場人物に言わせた、というだけでは、台詞だけが浮いてしまい、こうも読み手を惹きつけることもないでしょう。
イカレたものも含めて、きっちり漫画の世界観に、そして登場人物にフィットし、場面を盛り上げるよう計算されつくした台詞の数々。
それに惹かれて、単行本を買ってるようなもんです。
未読の方も、一度は堪能してください。
この巻でも隊長他、皆さんカッコいい!