何度も読み返してしまうくらい面白かった
★★★★★
ねじ式、長八の宿、赤い花といった名作は中学時代に読んだことがあり、ずいぶん暗い漫画というイメージがありました。大人になって読み返してみると、その風情がいたく気に入り、以後の作品を読んでみようと思い立ちました。
無能の人は映画化もされましたが、ここに収められた作品は本当にユーモアもあって、面白かったです。他のレビュアーの方も書かれていますが、私も「探石行」に一番惹かれました。その前の「鳥師」も不思議な迫力があって好きです。
つげ氏の作品はどこか哲学的な部分があり、そこが他の作家とは違うところだと思います。石に囲まれた中で、石を売るという馬鹿馬鹿しさが面白いと同時に、この世の中を風刺しているようにも感じました。有名作品と比べると雰囲気が明るいので、むしろ最初にこの選集を読むのもおススメです。