我々のイメージする「つげ義春」誕生前後の作です
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つげ義春がつげらしくなっていくのは「山椒魚」発表以降ですが、本書は「山椒魚」を発表した1967年以前の「ガロ」掲載マンガを中心に構成されています。
「蟻地獄」などの劇画調、「噂の武士」といったいかにも大人のマンガ、「沼」「チーコ」「初茸がり」などの古風で端正な絵柄でしっかり読ませるもの、「李さん一家」「蟹」「西瓜酒」などの軽妙さ、計算された絵・コマ運びとセリフでひょっとするとつげ最高傑作かもしれない「海辺の叙景」など、過渡期のつげマンガを読むことができます。
収録は、古本と少女、不思議な絵、沼、手錠、蟻地獄、女忍、噂の武士、西瓜酒、運命、不思議な絵、沼、チーコ、初茸がり、通夜、山椒魚、李さん一家、蟹、峠の犬、海辺の叙景