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陽だまりの樹 (1) (小学館文庫)

価格: ¥627
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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手塚治虫家のルーツ ★★★★☆
曽祖父が江戸の医師であった手塚家のルーツを辿る歴史長編。
様々な幕末の志士達が交錯する。

作品冒頭、伊武谷万二郎が、玄武館の北辰一刀流、千葉周作門下である
清河八郎と真剣で渡り合うことになるが、そのとき清河は「相馬藩脱藩」
と名乗る。そう名乗ることはあるのだろうか。僕には分からない。
僕は寡聞にして清河が、相馬藩の録を食んでいた事実を知らない。
調べたが分からない。誰か教えてください。
後期手塚の傑作のひとつに挙げていい作品。幕末史&手塚先生の御先祖の物語。 ★★★★★
後期手塚作品の傑作のひとつ。
幕末の黒船来航の混乱期に滅び行く幕府に忠誠を尽くそうとするひとりの武士と手塚先生の先祖にあたる医師を中心に話は展開していく。
「アドルフに告ぐ」には負けるものの、やはり歴史ものは先生の得意分野であったようだ。
巻数から考えて手塚先生の代表作を挙げよと問われれば、
「ブラック・ジャック」
「火の鳥」
「鉄腕アトム」
「陽だまりの樹」
「ブッダ」
と思う。傑作揃いでハズレなし。
この中では「陽だまりの樹」は下のほうになってしまいそうだが、他が傑作過ぎるだけだ。

そこに「手塚先生の凄さ」を見たいと思う。
エリートとバカを兼業している人は必読 ★★★★☆
秀作であり薦めることのできる作品ではあるのだが、決してわかりやすい娯楽作品ではない。とくに物語の冒頭は義務教育で習う日本史以上の予備知識がないとチンプンカンプンだろうし、外人のセリフが片仮名で書かれていて読みにくかったりもする。登場人物も物語の中心以外の人物(時代背景を描写するための人物)がやたら多い。

主な舞台は幕末の江戸。話の中心となるのは普段はチャランポランの若い医者(著者の曽祖父らしい)と愚直で不器用な下級武士の青年。歴史の表舞台の人物ではなく一般庶民と支配階級の中間の人たちに焦点をあてながら激動の時代を描写している。物語の序盤で語られる「陽だまりの樹」の意味や物語の終わり近くの主人公(武士の方)の言葉が長い物語を通して一貫したテーマになっており、現在でも、たぶん100年後でも、共感を覚える人は多いだろう。エリートとバカを兼業しているような人にとっては脳を激しく揺さぶられる内容だと思う。当時の江戸の描写も(どこまで史実に忠実なのかは知らないが)読んでいてリアリティを感じさせるものだった。
曽祖父の伝記 ★★★★☆
<主題・副題> 幕末~明治 生命と医学
<ネタとして> 曽祖父の伝記

 高校の歴史の授業、あるいは予備校・大学の講義で話を聞いたのですが、手塚治虫氏の曽祖父あたりの史実を基に書いているらしい。実際手塚良庵は実在するし、箕作麟祥の数代先祖の箕作阮甫などが登場しているのですが・・・。

 幕末という激動の時代を志士や大名の視点から描いている小節や漫画をこれまでに結構な量を読みこなしてきました。例えば、「竜馬が行く・歳月・翔ぶが如く・お~い竜馬・西郷と大久保・酔って候」等です。

 しかし、これはこれで充分テゴタエを感じる作品群ですが、藩医や町人に視点が合わされていてもいいのではないかと思う人もいるだろう。

 それに答えてくれるのが、この作品ですね。

 例として司馬遼太郎でいうならば「俄」などのような視点の持ち方ですよね。当時の人々の日常の営みも同時に感じることのできるような視点と描写が好きです。

 第一巻では、手塚良庵が大阪(適塾)に旅立ったつ頃までを描いています。

手塚氏の傑作長編! ★★★★★
手塚治虫氏の3代前の祖先・手塚良庵、その親友・伊武谷万二郎が幕末の動乱期を生きる物語。

良庵はすぐに女性に手を出す軽い性格(よくいえば柔軟な性格)、一方、万二郎は一本気で不器用な性格(悪く言えば頑固者)。このふたりの性格の違いが物語全体にわたって重要な役割を果たしています。

物語の後半、良庵が西郷隆盛に言うセリフ、

「歴史にも書かれねえで死んでったりっぱな人間がゴマンと居るんだ……そんな人間を土台にした歴史に残る奴などゆるせねえ。」

とても印象に残る言葉でした。作者の思いが伝わってきます。