概説書としては良心的
★★★☆☆
啓蒙の時代とされる18世紀。知識と自由が広がり、人間の権利が大幅に拡大した時代とされる。しかし、すべての人間が啓蒙の恩恵を受けたわけではなかった。非ヨーロッパ人、女性など、啓蒙の外側に置かれた存在も少なくなかった。彼らは啓蒙されたヨーロッパ人男性と対比されるべき立場に追いやられていたのである。本書はヨーロッパが非ヨーロッパに向けた視線を明らかにすることで、啓蒙の内実を問い直した著作ということになる。
しかし、内容は従来の説をまとめただけで、目新しい箇所はほとんど見当たらない。啓蒙の欺瞞を突くという点でも、底の浅いものに終わっている。
よくまとまっているので概説書として読むのには便利だろう。