東海道お化け道中 [DVD]
価格: ¥4,935
東海道・藤川の外れに「鬼塚」と呼ばれる古塚があった。その鬼塚で塚守が殺されてしまう。凶行から逃れた塚守の孫娘・お美代は、瞼の父を訪ねて東海道を下る。道中知り合った百太郎や馬子の新太の他、ピンチになると出現する妖怪たちに助けられた彼女は、父親との対面を果たせるだろうか?
大映妖怪映画の特徴ともいえる、妖怪のキャラクターを明確に描きつつ、決してそれらに依存しないという、作劇上のポリシーが特に色濃く出た作品。基本的に本作の主人公は、父親を求める娘・お美代であり、妖怪たちはピンチに陥った彼女をサポートする立場でしかない。それでもこの映画が“妖怪たちを見せる映画”としても秀逸たり得るのは、土ころび、ぬらりんひょん、ひょうすべといったお馴染みのキャラに加え、蛇骨婆、影坊主らの新登場妖怪たちの個性を、物語上の必然性と絡めてしっかりと描いているからに他ならない。安田公義監督の本編演出もさることながら、妖怪演出のツボを心得た黒田義之特撮監督の手腕が光る、我が国が生んだ幻想映画の傑作の一本。(斉藤守彦)