ジョージ・ハリスンがビートルズ時代の68年に発表したソロ1作目であり、アップル・レコードの記念すべき最初のLP。同名の怪奇映画のサントラでもある本盤は、当時ジョージが傾倒していたインド音楽をベースにしながらも、随所に西洋音楽的要素を加えているのがユニーク。彼の内なるユートピア世界を初めて具現化した作品として捉えることができよう。
メロトロンの導入や、友人であるエリック・クラプトンのギターなどが絶妙なアクセントになっている点も見逃せない。このジョージならではの神秘志向は、ビートルズという重たすぎる冠を取って初めて自由にはばたき出したといえる。その後の『オール・シングス・マスト・パス』に連なる第一歩がここにある。(木村ユタカ)