この本は読者を選びます。
★★★★★
短編集です。表題作の他に、眠り姫の棺・バットメディシンの3本立。
かつての「電気」「肩越しに月」あたりがツボだった人には必買の一冊。
藤田先生はもう10年越し以上の大ファンですが、今回のこれは私は絶賛です。特に眠り姫の棺。
藤田先生のはどれもそうなんですが、まず構成力が素晴らしいのと、一瞬の表情で語ったりするのがもの凄く上手。
ただ、今回「血脈・背徳・禁断」のラブストーリーだそうなんで、手放しで誰もに好かれる明るい話ってわけじゃないかも。
そこがまたいいんですが。(笑)
何もかもをべらべらと説明していく作者ではないので、絶妙な台詞の暗喩が見抜けなければ理解できない場合が多々。
読者を選ぶ作家だと思う。
読み流して楽しかったではなく、作者と勝負するエネルギーがないと、面白さが伝わりずらいんだろうなぁ…。
自分の中のどす暗い部分を否定しない人、読書に享楽以外の何かを求めてる人に、是非読んで欲しい本です。