主人公の少女に感情移入できるか否かで評価が分かれる作品であると思う。
私にははっきりいってきつかった。
自分の考えに対して根拠のない絶対的な自信を持ち、途轍もなく頑固で、ひとたび正しいと思い込んだなら相手の気持ちなどお構い無しにそれを押し通す彼女のその性格・態度は、どう考えても使用人のそれではない(むしろ作家、あるいは芸術家タイプとでも言おうか)。作者はこれを愛嬌と捉えて欲しかったのかもしれないが、残念ながら私には不快でしかなかった。

雇い主に対して当たり前のように口答えをし『こっちにも都合がある』などと言って憚らないこのような娘に、”融通の利かない石頭”よばわりされてしまう主の青年が気の毒でならない。
よく堪えたものである。生まれのせいで寛容さのレベルが違うのであろう。ご尊敬申し上げると共に、心からご同情申し上げる。

昔の童話みたいに、ほのぼのと可愛らしいお話。作者が目指した、大人向けの童話の通りでした。
意地っ張りで可愛いご主人様と、たくましくてかっこ可愛い主人公とのやり取りが何とも微笑ましいです。
続きが今度出ますし、日常を忘れてほっと一息出来るお話ですよ。

掲載していた「スピカ」にて、主題の作品を初めて読んだのですが、
最初は、雑な絵だなあ・・とぐらいしか思わず、流し読みしてました。（失礼）
ですが、なぜか気になって、後でゆっくり読んでみたのですが、
ほんわかとしていて、ほっと心が温まるお話で、気が付くと
幾度となく読み返していました。
「高慢と偏見」等で有名なジェーン・オースティンの小説のような、
ゆるやかでいてリズムのよい話でした。
主題以外の収録漫画では、「651のブルー」も心に残りました。
「ご主人様〜」とは真逆の、近未来で退廃的な雰囲気の作品で、
好みが分かれそうですが、キャラの対比やストーリーがうまいなあと感じます。

雑だと思った絵も、横顔やうつむき加減の表情は、特に味があって好きです。
まるで、するめのように、読めば読むほど味が出てくるような作品ですね。
藤田さんの他の作品も読んでみたいです。

この人の本は殆ど持っていますが、どの本も面白いのでおススメです。

ストーリーテラーとしての才能にいつも感動させられます。
絵もシャープ、その上、人間の感情が抑えられながらも溢れてくる強さがあり、
何回も読み返すことに耐えうる完成度の高さです。

この本は短編集で、初めての方もすんなり藤田氏の世界に入っていけると思います。

藤田氏もあとがきで「楽しい」という言葉を連発されていますが、
私も本当に楽しかったです。