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オルター・グローバリゼーション宣言―もうひとつの世界は可能だ!もし…

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 作品社
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ポピュリストが論じる歪んだ世界 ★☆☆☆☆
大学2年生の時、ゼミ形式の授業で発表課題として、この本が取り上げられ、それで読みました。

パンチの効いた文章で、この手の知識があまりない学生であっても簡単に筆者の主張の捕らえることができるのですが、一部の途上国の市場の失敗を過度に誇張し、途上国の政府の失敗についてほとんど言及していない、かなり偏ったものの見方をしています。

IMF・世銀の構造調整に関する議論は、両機関がそうした政策をおこなうに至るまでにあった、途上国政府の失敗や、欧米流の制度が整っていなかったが故のミクロ援助の失敗により、両機関と途上国が学んだことを踏襲しているものとはとても考えられません。

その偏った論理構成から、とてもではないが、真に貧困や国際間の格差をなんとかしたいと考えている考えている学生にはお勧めできない本だと思います。筆者は、既存の先進国の援助に対して文句を言うだけ言っておいて、結局国際社会・経済の展望を「もう一つの世界」という、もっとも一般人の感情として同情しやすい言葉にして、明確に示さないまま、読み手の感情に対して訴えたという感が否めません。

あえてこの本の使い道をあげるとすれば、反グローバリズムのバイアスを持った友人とゼミで討論するときの予習に最適といったところでしょうか?
グローバルな社会運動を理解するための一冊 ★★★★★
この本は、現在進行中の、「グローバル・ジャスティス運動」の中心人物でもあるスーザン・ジョージによる啓蒙書です。

「グローバル・ジャスティス運動」は、1999年のシアトルでのWTO閣僚会議を失敗に終わらせたことから注目されてきましたが、暴力的であるとか、「反グローバリゼーション運動」などという誤解もあります。

本書では、現在世界の恐ろしいほどの貧富の格差とそれを推し進めるアメリカ、世界銀行、国際通貨基金、WTO、OECD、G8、「超国家企業」の「経済的グローバル化」が、いかに、富める者を富ませ、貧しいものを貧しくさせているのか、そして、そのような格差が環境破壊などの原因となっているのかを糾弾し、「もうひとつの世界の可能性」を模索しています。

その一つが、「新自由主義」経済を進めるのではなく、「連帯経済」によって、市場原理を抑制し、歪んだ政治・経済・社会システムの転換を目指すものです。

本書は、世界の「歪み」を理解するうえで、是非みなさんに読んで欲しい一冊です。また、この本を読んで、まず、身近な問題からでも、問題意識を共有してくれる仲間が増えることを願います。
「もう一つの世界」の教科書 ★★★★★
 本書は「もう一つの世界」を実現させる運動の手引書、教科書として読めます。300ページに及ぶ分厚い書物ですが、記述が丁寧で難解な言葉を使っていないので読みやすくなっています。グローバリゼーションの現状と害悪、そしてその中での運動のあり方を項目を分けて一つ一つ丁寧に解説しています。
 著者のスーザン・ジョージは知識人でもあり、長年実地で活動してきた活動家でもあります。その知識横断的なスタンスからのグローバリゼーション批判は鋭いものがありますし、激動の時代を駆け抜けてきた活動家としての経験は、組織活動における豊富なアドバイスを提供してくれます。世界で起きていることと、我々はどうしたらいいのかを、平易な言葉で同時に学ぶことができます。
 本書は彼女のいう「グローバル・ジャスティス運動」へと、これから参加する初心者向けに書かれています。また、「グローバル・ジャスティス運動」を担っていてこれから人を迎える活動家に向けてもアドバイスを送っています。本書のいたるところから「一緒に活動しよう、世界を変えよう!」というポジティブなメッセージが読み取れる、そんな希望に満ちた本です。
オルターな視点 ★★★★☆
開発や南北問題などに興味がある人は必読。スーザン・ジョージは著名なアクティビストであると同時に(トランスナショナル研究所 副所長、国際NGO組織 ATTACK副代表を務める)、博士号も持っている。処女作『世界の半分はなぜ飢えるのか』は、現在の資本主義経済の問題点、そしてそれに取り組む世界銀行、IMFなどの国際金融システムを問題視した著作で、あまりにも有名。一歩通行で安直な二元論にとらわれる(経済的)グローバル化論争に異なった視点を与える彼女は一方でマルキシストを批判し、もう一方でネオ・リベラリズムやマネタリストを批判する。

 現在のグローバリゼーションにより生まれる問題を改善することはできないのか、その問いに挑戦し、クリエイティブな議論を展開する。オルターな視点はここにある。
『<帝国>』とともに ★★★★☆
飢餓問題を構造的に世界に訴えた『なぜ世界の半分は飢えるのか?』で一躍世界に名前を知られるようになったスーザン・ジョージ女史は、現在でもその基本的なスタンスはほとんど変わることはない。現在では、フランス発の地球規模の市民アクションである「ATTACK!」の副代表を務め、世界の「グローバル・ジャスティス・ムーヴメント(GJM)」(日本では「反グローバリズム運動」と訳されるが、誤解を多く含む言葉だと思う)の中心的な人物の一人。

本書は、これまで彼女が発言し、またまとめてきたものの集大成として、彼女の思考の集成となっている。世界が「グローバリゼーション」というなかなか判断することが容易ではない仕組みのなかに取り入れられ動かされている現実が、実際にどのようなものであるのか?ということを分かりやすく、そして具体的に分析・紹介・指摘する前半と、それにどのように立ち向かうことができるかを示す後半の組み合わせは、今の世界に首を傾ける多くの人の良き道程となるに違いない。

「もし……ならば、もうひとつの世界は可能だ!(Another world is possible! If...)」というのが本書の原題。訳者の杉村昌昭氏が語っている通り、ネグリとハートの『<帝国>』とともに「アプローチと現状分析が違うだけで、それぞれ各自の"オルター・グローバリゼーション宣言"なんです」(『情況』2005年1-2合併号)。合わせて読んで考えてもらいたい一冊。