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「政策連携」の時代―地域・自治体・NPOのパートナーシップ (東京財団政策研究シリーズ)

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本評論社
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政策連携だけで問題は解決しない ★★★★☆
市民社会論が興隆である。今日の市民社会論の多くの議論は、現代社会の複雑化、市民ニーズの多様化、公的部門の限界を挙げる。官だけでは解決できない問題が増えた。だから民間であり、市民であり、官民連携なのだと続く。

本著の立場は「行政機関を中心とするパートナーシップ論には大きな期待ができない」というもので、“政策”レベルでの連携という切り口からその中に自らの領域を切り拓こうとしている。「行政を中心に議論をすればバイアスがかかる」という認識には賛同できる。「NPOの系列化」という状況認識も官民連携に対する無条件の礼賛が続く論調のなかで、市民社会論の成熟過程を示すものと考えられる。

 だが、続く実践編の内容を読むと、筆者の切り口や状況認識の成熟程には斬新な切り口は見られない。事例編は筆者自らが米国版プロジェクトXという事例紹介の域を出ないし、練習問題として挙げられた富士山の保全と開発についても、実現のプロセスに係わる問題性の発見が無く、コンサルタントの報告書の様な陰影の無さが目に付くのである。

 この理由として、筆者が行政の機能の批判ということと一線を画していることが考えられる。筆者は近代国家の限界を認識し、これを機能不全に陥っているという。だからこそ、政策をキーワードに連携を図って実績を積み上げ、実態として政府機能を解体し、ソフトランディングさせていくことが必要だという。

 近代国家の限界も行政機能の停滞も、筆者の認識に賛同できる。そのことへの筆者の強い問題意識が政策連携を提唱させたということを考えれば、筆者の立場への批判は避けたい。しかし、現実として政府は存在し、機能不全以上の悪弊として今日の日本社会に確固とした位置づけをもっている。このことを考えれば、政策連携という外からの蘇生手法だけでその解体を目指すという筆者の立場は楽観論に過ぎないのではないか。

 とはいえ、今日の市民社会論の多くが事例紹介の域を出ず、理論的な体系化の試みを放棄するあるいは試論の域をでない中、筆者自ら「荒削り」としながらも既往理論との対比を試みるなど、今日の市民社会論の中では一歩先を行く著書である。

いい本です ★★★★☆
民間のコンサルタント、そして官僚という二つの経験が生きている著作。民・官の連携のあるべき姿を他のモデルとも比較しつつ、わかりやすく説いている。しかしこのレベルの提言が実際に社会に浸透するまでは、かなりの時間がかかりそうだ。
NPO学会賞を受賞 ★★★★★
久々に読みごたえのある本に出会った。筆者の実戦経験と学識の深さが惜しみなく発揮された逸品。日本NPO学会賞、フジタ未来経営研究所賞を受賞したことからもわかるように研究書としての深みは申し分ない。それでいて読みやすく、事例も豊富。NPOが政策形成の核になるといった洞察はいままで日本になかったもの。民営化、NPMについても詳しく、じっくり何度もよみたい本です。