赤ちゃんの牛乳を買ってきてほしい、とママに頼まれたみいちゃん。100円玉2つをにぎりしめ、坂の上にあるお店まで、さあ出発。でも転んでお金を落としたり、必死に呼んでもお店の人が出てきてくれなかったり、とまどうことがいっぱいで…。
困難に直面する度に、みいちゃんの胸は不安と緊張でぱんぱんにふくらんでいく。でも、しっかりと芽生えた強い責任感が、前へ一歩、足を踏み出させる。お店のおばさんのやさしい対応でやっと牛乳を買うことができ、がまんしていた涙を「ぽろん」とひと粒落とした時、すっかり感情移入して張り詰めていた読み手の心も、一緒にはじけることだろう。
細部まで作りこまれた街の様子や、見守るような目線で描かれるみいちゃんの後ろ姿、決して大げさではないが豊かな、人々の表情。丹念に描かれた絵のひとつひとつからも、たくさんのことが伝わってくる。(門倉紫麻)