ベッドで煙草はよくないわ
価格: ¥2,800
エディ・ヒギンズは不思議なピアニストだ。デビューしたのは50年代だから、いまや大ベテランといって差し支えない。これまで一度だって華々しいスポットライトを浴びたことなどなかった彼だが、90年代半ばに「エディ・ヒギンズ再認識ブーム」とでも呼ぶべき特異な現象が日本でぼっ発。突然注目のピアニストになってしまったのだ。
この不思議な現象をどう理解すればいいのやら。ヒギンズ自身は基本的に昔と変わっていないのに、彼をとり巻く環境が変化した。まるで時代が彼にすり寄ってきたみたいだ。テクノロジーの発達、過激な音楽がはん濫する今だからこそ、人肌のぬくもりがする、シンプル&ハートウォーミングなヒギンズのピアノに心の安らぎを感じるのだろうか。
といっても彼のピアノはヒーリング系ではなく、あくまでも小粋なジャズ・ピアノだ。本作は2000年録音のスタンダード曲集。トリオ編成でも、いつもと違いドラムレスで、かわりにギターのジョン・ピザレリを加えている点が最大のポイントといえる。(市川正二)