新版になり、さらにおもしろくなった永遠のペンギン成長記
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南極の島で生まれた、アデリーペンギンのやんちゃなルルと弟のキキの成長を書いたロングセラー。
第一話が発表されたのは1954年らしいですが、改めて読み返すと、ペンギンの生態や南極の気候などがとても正確で詳しい。じつは作者のいぬいさんは1990年頃、ペンギンや南極についての新しい情報を盛りこんで書き換えられたとのこと。児童文学者の真摯な姿勢に感動させられます。
子どもペンギンたちの冒険好き、元気いっぱいの様子も、わが子の成長を見るようなのですが、ペンギンの親たちが一丸となり、厳しい自然やさまざまな敵から子どもを守ろうという姿がとても感動的です。
それに、「きみたちはもう二どと、ひょっこのペンギンになって、おとうさんやおかあさんに、あまったれることはできないのだよ。」という先生ペンギンの言葉は、大人にはぐっときますが、当の子どもペンギンたちは「だれがもういちど、つまらない、ひよっこなんかに、なりたいでしょう。」と思っている。そこに未来へ対する、子どもたちの健全な希望が感じられて、とてもたのもしく感じます。
南極の自然の厳しさと美しさ、そして、人間と野生動物の関係にも考えさせられる点が多く、日本人は世界一ペンギン好きと言われていますから、ぜひ親子で読んでみたい本。大友康夫さんの挿絵もさりげなくてかわいらしいです。