悩める社会科学系(特に政治学)の院生・若手研究者に
★★★★★
論文の書き方についてのマニュアルです。これまで、論文の書き方について、数多くの本が出版されてきました。本書は、卒業論文から学会投稿論文まで取り上げている点で、他とは一線を画していると思います。さらに、付録として研究計画書の作成術があり、かなり親切なつくりです。
同種の本に、酒井聡樹先生の『これから論文を書く若者のために』(共立出版)がありますが、本書は、その社会科学版といったところでしょうか(語り口は酒井先生に比べ、ややカタイですが)。
著者の川ア剛先生が国際政治学者であるため、社会科学のなかでも特に政治学関係の大学院生・若手研究者にとっては、とりあげられている事例がピンとくるものが多いだけに、非常に有益な本です。その反面、「レポートの書き方がわからない」という感じの学部1・2年生レベルの方には、ちょっとハードルが高いかな、とも感じます。
本書は、論文で悩める社会科学系の大学院生・若手研究者たちのよりどころとして、そしてそうした人たちを指導する立場の方々にとっては「虎の巻」として、使える本ではないかと思いました。