本書は、「論文執筆の基礎」と「論文の体裁」の2部構成になっており、論文の性格、執筆の手順、資料の収集、文献引用の仕方、注の位置、最低限必要な専門語、論文の構成、見出し番号、略語、引用文献の標記方式などを、豊富な記載例を交えながら分かりやすく解説している。とくに、文献の引用方法についての詳細なルール、体裁を紹介しているのが、大きな特色といえる。
そもそも著者が本書を執筆したのは、執筆の約束事を無視した論文を提出してくる学生が多かったことのほかに、文献引用の仕方の訓練をしてもらいたいとの思いがあったからだという。「指導教授が必ずしも論文のスタイルや引用のルールを知っているとは限らない。学生がルールを知らないのは、教師が教えないからである」と指摘する。教授等から論文の書き方などについての指導が受けられそうもないなと感じたら、本書を参考に習得しておいたほうがいいだろう。巻末には、日本語と英語の論文の詳細な体裁例やユネスコ雑誌名略語リストなどが掲載されており、即実践に役立つ。(清水英孝)