女性と関所の話
★★★☆☆
女性が関所を通るのがどれほど困難だったかという話。手形の入手法や記載内容から関所での取り調べの段取りまで、関所に関わるすべてがわかる。特に女性に関して、手形の記載内容がほんのわずか誤っていたから追い返されたとか、取り調べをする係官に賄賂を渡さなかったから嫌がらせをされたとか、関所の厳しさが詳細に語られる。私は箱根で生まれ育ち関所には格別の親しみがあるので、懐かしく読み進められた。箱根には関所破りをしようとして悲惨な死を遂げた女性の伝説が残っており、そのとおりの世界であった。
ただ、類書には関所の取り調べのいい加減さが強調されているものもあり、真実がどこにあったのかわからない。金森氏の著作からは係官の個性による取り調べの差が書かれており、そのあたりに左右されるのかも知れない。