体調を崩し、医者から的確な診断を得られないまま暗中模索のなかで出会った「西式甲田療法」、まさに「藁にもすがる」という当時の私には一筋の光明に映りました。その療法のひとつである「朝食抜き」を甲田療法を知る随分以前から実践し、体調が良くなったことを体験していた私にとっては、一見非合理とも思えるこの療法が救ってくれるかもしれないと思ったからです。そして出来る範囲ではありますがその幾つかを実践、その全てが健康回復に多大なる効果を上げてくれたことは現在全く疑う余地がありません。今や私の食生活は一変するとともに体調も回復、健康であることのありがたさを心の底から感じている次第です。と同時に、私は猛省をすることとなりました。なぜなら今までは「身体が何とかしてくれる」「無理をしても大丈夫だ」のような考えから、健康を省みることなどあなかったからです。「病気直しは癖直し」という先生の言葉が、回復してくる体調とともに胸中に深く染み入りました。
甲田先生はこの本のなかで、健康法を提唱している自身でさえ己の弱さゆえ失敗を重ねた、という体験を赤裸々に告白しながら健康に生きる術を提唱しておられます。そこには一医師として現代社会を見据えた厳しさと人に対する暖かさ、そして優しい人柄が描かれております。甲田先生は「菜食中心」や「少食・朝食抜き」「運動療法」等、健康回復・維持の為に様々な方法を多くの書で提唱しておられます。甲田先生の健康法に異論を唱える方もいらっしゃるかもしれませんし、それはそれでいいと思います。しかし私は「活学」としてこの方法を体験し、その効果を驚嘆をもって知りました。この本とこの健康法、「活かすも殺すも自分次第」だと思います。

　私は断食の経験はないが、甲田先生の教えに従って1日２食を守っている。どのような健康法が良いかということは、それぞれの体質、気質、信条にも関係するので、断言することは難しいが、私自身は３食の時に比べて、体調はずっと良い。
　この本には甲田先生の数々の、失敗談がある。意思が強いと思える先生が、時にはこれほど意志薄弱な行動をしたことを知れば、多くの人は微笑み、ほっとするだろう。
　私は２食にしていても、食べ過ぎるときがある。そのようなときには、先生の失敗談を思い出して、自分を慰めると同時に、もう一度自分を戒めて、過食をやめようと決心する。

そうか！甲田先生も若い頃甘いものが大好きで、何度も何度も甘いものに手を出してはそれまでの断食と少食の
効果を水泡に帰し、失敗を繰り返しておられたんだ〜だから、先生は患者さんが自分の処方を破ったとしても、
怒らず温かく迎えてくれるんだ、、、と思いました。先生の愛嬌と温かみのあるいつもの面白い文章であっと
いう間に読めました｡

それにしても断食や少食を実行するとどうしてこんなに甘いものが欲しくなるんでしょう、、、。只今甲田療法
を実践し、甘いものをやめるのに必死になっていますが、甘いものはなかなかやめられません！

　テレビや雑誌、世間話にまであふれてくる様々な健康法。どれを試しても大して改善されない謎が分かります！

　現代の医学・栄養学に風穴を開ける著者の食と健康に対する実践、研究、そして哲学は、読む者にコロンブスの卵的な衝撃を与えるはずです。病気を抱える知人にはもとより、誰にでも薦めたくなる良書です。

　ありきたりの健康法では満足できない方、八方手を尽くすも不幸にも絶望の淵に立ってしまった方、とにかく一読してください。自分の健康に大金をかけずとも人生が変わるかもしれませんよ。