著者が一貫して訴えていることは、教育は「幼稚園どころか、3歳でも遅すぎる」ということである。だが、5歳から始めるのと同じ内容の教育を1歳の赤ちゃんから行うべきだと主張しているわけではない。その歳に応じた育て方があるというのだ。0歳から2歳までの時期は有無をいわせず繰り返し覚えさせる時期で、3、4歳はその子の興味に訴え、納得させながら教えていく時期に当たる。とりわけ、さまざまな刺激を何ら抵抗なく受け入れ、脳細胞に焼き付けていく0歳から2歳までを著者は「パターン時代」と呼び、幼児教育上重要な時期と説く。
そして、このパターン時代の教育は母親にしかできないとの考えから、母親がなすべきことや環境づくりなどについて76話を講じている。「3歳までは、どんなに厳しくしつけても悪影響は残らない」「母親が恐れることは、子どもも恐れる」「『日本語を覚えてから外国語を』では遅すぎる」「子どもの“なぜ”を無視すると、子どもの好奇心は失われる」など、本書には子育てのヒントがいっぱい詰まっている。(清水英孝)