納得感のある一冊
★★★★☆
本書は「ゼネラル・マネージャー」の行動スタイルの特徴についての研究書である。「ゼネラル・マネージャー」なる言葉は日本ではあまり聞き慣れないが、要は「CEOという頂点を見据える、『八合目にいるビジネス・リーダー』」(訳者あとがき)だと捉えればよい。本書はその実態を実に地道な5年間にわたるフィールド調査とデータ分析によって見事に炙り出している。地道な調査に基づくデータが伝える内容には、説得力があり納得感がある。今ひとつとらえどころがないこのポジションにいる人たちの働きぶりを、分かりやすく整理して提示されているところで十分価値があるし、また、米国の事情と日本では異なる面も多いが、そこを踏まえつつ読みすすめれば、読者の立場に応じて種々のビジネス上のヒントが拾えるのではないかと思う。
GMの仕事
★★★☆☆
ジェネラルマネジャー(会社で人を纏める立場にある人と言ってもいいでしょう。)の仕事と
いうのは、確かに掴みずらく、人にも具体的に説明するとなると躊躇してしまうことが多々
ある。これは自分だけの(或いは特定業界の)特殊なケースとばかり、思っていましたが、
この本を読んで、なるほど、そういうことかと腑に落ちた。
「一日の間に規則性なしに四六時中生じる時間の断片、問題点の断片の連続の中から、一ひと
つの事項の意味を読み取り、最大限に生かすのに長けている」これが好業績を達成するマネジャー
の傾向らしい。
組織図に現れない人的ネットワークを上手につくり、自らのアジェンダを実行していく。
やはり、これからのGMに一番大切な資質は周りの人に影響を与えることのできる人格と誠
実さ、正直さではないかと個人的には考えます。
実証研究は高く評価
★★★☆☆
15名のジェネラル・マネージャーの個別調査を地道に分析している。生い立ちやキャリア、個人特性など。調査期間にばらつきはあるものの、多面にわたる緻密なリサーチは感心する。多少気になるのは、ビジネスリーダー(日本名)とジェネラルマネージャー(原文名)は異なるということ。また、日本のビジネスリーダーとは背景・文化が異なる。日本を代表する起業家は大学院を出ているわけでもない。雇用の文化も異なる。米国でのモデルと割り切って読むならいいだろう。コンピタンスモデルとしての抽象度ももう一つであり、私個人の仮説とも異なり、期待をもって読んだのだが、それに応えるものではなかったので3点とした。リサーチの丁寧さと公正性は高く評価したい。