インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

援助じゃアフリカは発展しない

価格: ¥2,376
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋経済新報社
Amazon.co.jpで確認
性善説を疑え ★★★★★
 独立後の膨大な援助にも関わらず、1997年のアフリカの貧困率は66%まで上昇した。この数字を見て、援助の効果を疑うのは当然だろう。著者のダンビザ・モヨ氏はさらに一歩踏み込んで、援助そのものがアフリカの発展を阻害してると主張する。

 国際援助には3種類に分けられる。1つは緊急援助、2つ目は草の根のチャリティー援助で、3つ目は国や国際機関主体の政策的な援助である。モヨ氏が断罪するのは政策的援助である。

 アフリカへの援助は成長指向型のインフラ整備から始まるが、70年代には貧困対策が主眼に変わった。それにも関わらずその後、貧困は増加した。
 その要因として援助が資源同様のレントであることをモヨ氏は指摘する。レントとは利権さえ抑えれば、汗もかかず知恵も絞らずに得られる収入だ。レントが引き寄せるのは、最も賢明な者ではなく、最も強欲な者であろう。資源が内戦の原因となったと同様に、援助も権力闘争の原因となり、優秀な人材は政府を去り民間へ外国へと流出する。
 そして残った強欲で愚鈍な指導者が私腹を肥やす。

 ブヨ氏の考えはとても経済学的である。つまり人間は本質的に利己的であることを前提に、アフリカや支援国の取るべき施策を考えている。
 性善説を捨て去ると、アフリカ支援の全く異なる姿が見えてくる。まず資金譲渡に近い現状の援助を停止し、アフリカ各国は信用が金利に影響する債権市場から資金調達をするべきという。そして中国の見返りを求める直接投資を歓迎すべきという。これらの資金は政治に規律を生み産業の発展を促す。資源に始まった中国の投資は他の産業まで広がり、多くの雇用を生み出し、アフリカの世論調査は中国を高く評価している。

 ブヨ氏は全ての援助を否定してるわけではない。例えば学校への良い出席率に対し現金を給付するような、自助努力を側面から支援する援助は評価している。
 「努力する人を応援する。」
 これは日本人好みの援助の仕方では?
援助は諸刃の剣 ★★★★☆
この本は、ちょっと援助のネガティブな点を強調しすぎている気がする。確かに先進国がアフリカの独裁者に援助をし続け、その国の発展を阻害してきたのも事実だとは思うが、東アジアの国々が援助を有効に使い、経済発展を遂げてきたのも事実だと思われるからだ。それにアフリカでもボツワナは発展の初期に援助を有効に活用したのである。

要は、先進国が途上国に資金を供与するという「援助」そのものに問題があるわけではなく、その供与の仕方に問題があるのだと思う。これは被援助国の問題ではなく、援助供与国の我々の問題である。だって、私たちの税金が無駄に使われているわけですから。
援助の実態を知ろう ★★★★☆
援助がビジネス化して腐敗政治家はもちろん、援助業務を生業としている国連官僚や宗教団体のいることで無駄な援助が無くならないことが良くわかる。
Worldvisionが1/4程度しか援助金といて渡していない話は参考になる。日本ユニセフも同列か?

極貧国の特定の子供を「あしながおじさん」的に援助することは、その子供が周囲から浮き上がる原因となるという指摘はなるほどと思わせる。

朝鮮戦争混乱後の韓国からSwedenに養女として引き取られて成人した大学院生にStockholmで逢ったことがあるが、Identity問題で苦しんでいた。
善良な養父母は劣悪な環境下の孤児をを救済し、養育したわけだが、人種の違う環境で育った本人には精神不安定をもたらすほどのpressureがあることが良くわかった。

アジア的貧困などの表現で散々馬鹿にされていたアジアで韓国、台湾が台頭すると随分風向きが変わり、現在のアジア諸国の自信となった(古くは明治維新の日本)。
アフリカでも同様に、どこかの国が成功例を示すことがポイントであろう。
この役目を果たすのは南アフリカ?

援助される側からみた援助問題指摘の書として一読の価値がある。
オックスフォード大経済学博士による、実用的かつアカデミックなアフリカ経済発展論 ★★★★★
時間に余裕のない読者であっても4章(援助が無駄に終わるしくみ)・6章(現地通貨による現地国債発行の重要性)・8章(援助額より貿易額を増やすことの重要性)は読むべき。読んでいて印象深かった点を挙げると、現地で細々と蚊帳を作っていても大規模な援助によって外国製の蚊帳が現地に届き地元の蚊帳産業がつぶれてしまいさらに5年後には外国製の蚊帳も破損し使えなくなること(p.61)、アフリカの国内債券市場整備が発展に必要であること(p.125)、債券リスクを引き下げるには1国単発ではなくいくつかの国がグループを組んだり世銀の保証をつけると効果的であること(p.132-133)、マイクロクレジットはアフリカでも非常に効果を発揮しているがまだまだ浸透の余地があること(p.180-190)、中国の取引的援助がアフリカ経済に効果的だったのは無償援助ではなく見返りを求めたからであること(p.219)、等である。カタカナ表記で原語が分かりづらい場合は、必要に応じて原書も買い辞書をひくようにして照らし合わせると便利だろう。引用文献も世界の学術研究レベルであり豊富かつ高品質。
現代のアフリカ援助を痛烈に批判する ★★★★☆
すばらしい経歴を持った黒人女性エコノミストによって書かれた、アフリカ援助政策批判の書。世界中の国がミレニアム開発目標を宣言し、各国が協力して開発援助を行うことを定めた後においても、援助の是非については意見が分かれているが、本書の主張は題名からもわかるように、援助支持派のジェフリー・サックス氏らの意見とは異なり、反対派のウィリアム・イースタリー氏らの意見に近く、彼の意見をより具体的に掘り下げた感じである。
彼女があまりにも援助を批判し、突き放す感があるのは読んでいて決して心地よくは無いものの、かなりの部分で当たっているのではないかと感じる。アフリカを援助ではなく、自立へ、そして自由市場主義へと導こうとするその主張は、彼女がゴールドマン・サックスで働いていた感覚を反映しているのではないかと勘ぐってしまうが、本書で展開される開発政策の歴史的俯瞰とそれに続く力強い主張は読んで損は無いものと思う。