著者は、西欧と、日本と、ロシアを対置する。商業上の倫理や、社会の秩序といったテーマである。著者の意識はあくまでも日本にある。三者三様ながら、本書では日本がより西欧に近く描かれている印象を受ける。より上手く行っていると。ほんの数年で今は様変わりだ。著者が日本とロシアの特徴を、西欧との距離で測ったとき、かつてプラスに作用したその分だけ、現在は悪い方へ作用しているのだと思う。著者の社会観が、エッセイにとどまらず、より体系化され、完成されることを待ち望んでいる。