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閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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閔妃の伝記として優れているのだが ★★★☆☆
ごく最近になって柴四郎(東海散士)が登場しているとの話を聞き、念のため20余年振りに本書を読み直してみた。柴四郎が閔妃暗殺に関係していたとの話はあるが、本書に登場したとの記憶はなかった。今回、丁寧に再読してみたところ、確かに2,3ヶ所、記載はあった。しかし、殆ど本書の本筋とは関係がないことがわかった。それはそれとして改めて本書を今、読み直してみると色々と感慨深いものがあった。

本書の題は「閔妃暗殺」であるが、その3分の2以上は、朝鮮開国からの日朝間の歴史である。すなわち、江華島事件に始まり、壬午政変(軍乱)、甲申政変、日清戦争そして日清戦争後の朝鮮の動きである。この時代を知るよい材料である。閔妃は、この時代に李王・高宗の妃となり、舅の大院君と抗争を繰り返しながら朝鮮の帰趨を左右するほどの政治力を発揮する。閔妃について生い立ちからよく調べられており、その実像を知るには本書に勝るものはないであろう。

残念なのは、歴史を視るのに西欧のアジアに対する衝撃という大きな視座が無視され日本の朝鮮への対応が正義であるか否かに限定されていることである。本書のなかに記載があるが、教科書事件(1982年)の経緯が明らかになった時点で執筆されたものであり、その時代の影響も大きく受けているのかも知れない。
また、本書の副題は「朝鮮王朝末期の国母」となっているが、「国母とは国民のために祈り、国民に敬愛される(王)妃」というのであれば、本書を読んで、とても閔妃が国母とは言えないと思うのであるが如何なものであろうか。
尚、角田房子氏は今年1月、逝去された。謹んでここに弔意を表する。

ご冥福をお祈りいたします ★★★★☆
先日の朝刊に「閔妃暗殺」を書かれた角田房子さんご逝去の記事が掲載されました。
李氏朝鮮王朝には閔家を出所とする妃が4人いて,そのうち“閔妃”と呼ばれるのはこの第25代王高宗の妃であった彼女だけなのだそうですが,現在私はDVDで「明成皇后」を視聴中で,同時に小説も読んでおりましたので,ご逝去の報に驚いたところです。
小説では,非常に綿密に取材されたことが伺われますが,事件は“暗殺”ですし,相当に政治の匂いがしますので,どこまでが真実かは図り知れません。
韓国ドラマ「明成皇后」では,歴史を掘り起こして新しい解釈で彼女の実像に迫るとか謳ってますが,これもどこまで本当か分かりません。
歴史的事実は,高宗の妃が死ぬことによって歴史が動いたということでしょう。
ドラマ,小説,作者のご逝去と偶然が重なりましたが,ご冥福をお祈りいたします。
伊藤博文はなぜ暗殺されたのかがわかる ★★★★★
2009年に韓国では安重根の刑死後100年で日本の植民地支配に抗議する人々がいた。安重根は韓国初代統監である伊藤博文をハルピンの駅で暗殺した人物である。彼は裁判で暗殺の動機を「閔妃ミンピ暗殺に対する復讐である」と明言している。
 閔妃は確かに毎日朝まで宴会を催して、貧困化した韓国を省みずに李王朝の権益の保護と存続を強く追求し、簾政政治をひいて庶民の目からみれば国家を壟断する悪女であった面はある。また、韓国人を殴ることを日常茶飯事で行う浪人、ごろつきのあふれる日本の支配をきらって、ロシアに提携を求めたため、日本の政府の不興を買ったのである。三浦悟楼は伊藤博文の第一の子分であり、親分の意図を汲んで、身を挺して閔妃の排除を敢行したのである。閔妃暗殺は欧米では日本の悪行として強い反発を招いたのに日本では報道されることは少なかった。また、暗殺に関与した日本人は裁判で無罪とされ、むしろ、三浦は栄進していく。
 日本の植民地化していく過程で、日本人は金貸し業から入り、一ヶ月一割などの高利でお金を貸し、返すことができない農民から担保の土地を巻き上げることで、財をなしていく。土地を取られた人々の恨みを買ったし、安い労働力として日本の支配体制に組み入れられていく。閔妃暗殺に復讐する伊藤博文暗殺は朝鮮人の日本への恨みを晴らす象徴的事件である。どれだけ悪女であっても他国の皇族の暗殺することは恥ずべき行為である。
 
とりあえず読んでみよう! ★★★★★
自国の教科書が教えてくれないのだから、わたしたちは自発的に読むべきと思いました。
閔妃のことだけでなく、この時代の日本を動かした有名な歴史人物のことも同時に学べるのも魅力です。
膨大な資料を読んだ上で読みやすくまとめて下さった角田さんに心から感謝しています。

閔妃のことはもっと調べたいとおもいますが、現時点ではマリーアントワネットと西太后を足して二で割ったような印象。民衆の生活には理解も興味もなく、氣品と魅力もあり頭脳も明晰、でもそれらを駆使して追求する彼女の人生の目的が、自己の安泰と利益のみでストップしてしまっている。。だからといって他国の王妃を殺すのは余計なお世話。保護国化したあと日本が朝鮮民衆の生活を向上させたならまだしも、苦しめていたことを考えると全然ありがたくない。だから「代わりに殺してあげた」という現代日本人達は、国際社会的に感覚がズボラすぎると思います。例えば最悪な日本の后を大国が暗殺してくれたけど、そのあとは日本語使用を禁じて治外法権で支配。。と想像してみれば、私達だったらこの事件をどう感じたか、わかる筈です。

ちなみに「閔妃は朝鮮人が殺した、日本人が殺した事実はない、角田房子は自虐的」というコメントを見ました。当時、朝鮮国王の居室近くの洋館に住んでいたアメリカの退役将官ジェネラル・ダイと、ロシア人技師サバチンという2人の目撃者は、暴行現場の日本人に退去を伝えられましたが政治的に指示を受ける必要がないので惨事を目撃し続けたとあります。文脈から、これが角田さんの妄想である筈はなく、、不勉強で感情的になることの恐ろしさを感じました。

左翼的、右翼的、いろいろありますが、できるだけフラットに事実をみつめて、未来を築いていくことが大切だと感じています。
鉄人823号 ★★★★☆
たとえ韓国内がロシア派、中国派、欧米派、日本派と混乱のなかにあったにせよ、軍事戦略上もっと別の方法がなかったのか。被害者がロシア派であったが故の不幸な強行突破の犠牲者と云わざるを得ない。