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兵士を追え (小学館文庫)

価格: ¥833
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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秘密の塊である潜水艦の実態に迫った力作 ★★★★★
杉山氏の「兵士」シリーズは自衛隊のルポとして定評がある。私がこのシリーズを最後に読んだのは5年以上も前のことだったが、相変わらず素晴らしい出来だ。このシリーズの魅力は何と言っても普段全く接点が無い自衛隊の現場に筆者自らが入り込み、多くの自衛官と接し、自衛隊と自衛官の等身大の姿をできる限りリアルに描き出そうとしているところにある。徹底的な取材を重ね、明瞭な文体で自衛隊の姿を読者に紹介してきた筆者の功績は大きいと思う。かと言って自衛隊や自衛官を美化しているというわけでもない。無論、特に本で実際に紹介している自衛官に対しては筆者自身個人的な愛着を感じているのだろうが、筆者は自衛隊をとりまく様々な問題を忘れておらず、随所で自衛隊、あるいはそれをとりまく環境に対して批判的な見方も示している。これぞジャーナリズムであろう。

本書はこれまでの「兵士」シリーズよりもさらに踏み込んで、秘密の塊と言われている潜水艦の実態に迫った力作である。実際に筆者は潜水艦のオペレーションに同行し、オペレーションをその目で見て、潜水艦の乗組員に取材を重ね、本書を書いている。勿論、自衛隊は肝心の秘密は筆者に見せていないだろうし、本書の中には秘密の情報は紛れ込んでいないとは思うが、それでも未知なる潜水艦の世界のルポを書いたというのは目を見張る功績だろう。700頁近いという分量は圧巻だが、文章は上手いし、随所にユーモアが盛り込まれているので、サクサク読み進めることができる。軍事に詳しい人が読んでも満足がいく出来になっているし、良質なルポを読みたいという人にもおすすめできる内容になっている。
シーレーンを守る潜水艦と哨戒機の人間味溢れる内幕 ★★★★☆
 杉山隆男氏による兵士シリーズの第3作は、海上自衛隊の潜水艦及び哨戒機P-3Cの乗組員に的を絞り、各々の生き様を追ったルポタージュである。取材する本人は自衛隊マニアでもなんでもなく、単純にそこで働く人間に興味があるというスタンスなので、内容は一人一人にインタビューをしながら同行取材をした結果である。従って、読むための軍事知識も必要ないし、思想に左翼も右翼もない、ただ自衛隊で働く普通の日本人を淡々と描き、正しく敬意を払うべき内容に仕上がっている。

 この本では、潜水艦の艦長・副長、哨戒機の操縦士・機長も兼ねうるTACCO(戦術航空士)、その他一般隊員がどのような仕事をしているのかを小説のように書いている。さらに、それぞれ隊員の生まれや入隊の動機、趣味、恋人・伴侶との出会いや別れなどを聞き取って綴った内容は、自衛隊が普通の生身の日本人で構成されていることを見せてくれる。

 戦地での華々しい活躍も、取材する側の苦労も必要以上には入っていない。自衛隊のあり方と時代に流されて変わりゆく自衛隊への少々の問題提起がある程度だ。単純にそこにいる人間を描写する姿勢に好感が持てる。
自衛官の日常を追う ★★★☆☆
自衛官を追ったルポ
今回は潜水艦乗りとそれを追いつめる哨戒機P3Cの乗員にスポットを当てている。
普段我々が知ることのない自衛官達の生の姿、特に機密性が高いとされる潜水艦と哨戒機を操る隊員達の生活、考えていることが分かって非常に面白い。

が反面、あまりにも淡々と生活と言うか仕事が行われているので、戦争映画での緊張感の高い潜水艦内シーンや哨戒機との戦いをイメージするとちょっと拍子抜けとなる。

まあ、「本物」が持つリアリティーと言うのは得てしてこんなものかも知れないが・・・

とにかくボリュームのある(厚い)本です。
最前線の自衛官を知る、優良な本 ★★★★☆
 本書は海上自衛隊の、潜水艦そして対潜水艦活動を主な任務とするP3Cの航空部隊、この二つの従事する自衛官の普段は暗部に囲まれて世間では知られることのない彼らを取材した本だ。

 特に潜水艦は、停泊している際にも民間人が乗船する機会など皆無に等しい。著者はよほどの信用を自衛隊に克ちえているのだろう、二回も潜水艦の航海を経験している。

 呉のタクシードライバーは乗車した瞬間、その人間が潜水艦のりであることを見極めるという。そういったエピソードも本書で始めてしるおもしろい事実だ。

 潜水艦は塩分濃度や海中温度によってソナーの性能が大きく分岐し、それをしることは、その海域で行動する艦にとって命に関わる貴重なものだと本書は教えてくれる。

 中国によって堂々と領海の海が、海洋調査船の活動によって裸にされていく。

 外務省の官僚や、政治家が本書を読んでどんな感想を持つか聞いてみたい。

 国の防衛の為に、日々命をすり減らし活動する彼らを、どうして同胞である我々が後ろから背中をつつくような、そんな行為を許すのだろう。本書を潜水艦に乗務する彼らの本質をしれば、そんな行為に怒りがこみ上げてくるに違いない。

日本の脇差に迫る ★★★★☆
秘の塊である海自の潜水艦と哨戒機への軍事情報誌の同乗取材と比べ、良くぞその裏に隠された人間的スメルに迫った記述は秀逸。改めて意識の外にあった潜水艦の存在には、ある種の親近感を覚えてしまった。ただ「兵士」シリーズ3部目と言うことで、筆者には自衛隊に対する相当な理解力が蓄積されているおり、第1作の「兵士に聞け」ほどの緊張感には乏しい。