プロローグとして、近藤さんの葬儀の際に司馬遼太郎氏が読み上げられた弔辞が載せられています。
この美しく張り詰めた弔辞からだけでも、近藤さんの人となりを窺い知ることが出来ます。
この本までに未収録だったエッセイなども沢木耕太郎さんの手によって編集されたことにより、いっそうその深みが増し、読む側も理解しやすく仕上がっています。
近藤さんの著作はほとんどすべて読んでいたにも関わらず、見落としていた視点があったことをこの本によって気づかされました。
ヴィエトナムに興味があるなしだけに留まらず、ジャーナリストとしての近藤さんの鋭敏さ、そして一人の人間としての寛大さ、素晴らしさを再認識させられる一冊です。
彼のように、世界を見つめられる人はどのくらいいるのだろう。