手塚治虫、初期のSF漫画を映画化したアニメ『メトロポリス』。製作期間5年、最先端の技術を駆使し、総作画枚数15万枚を投入した本作がみせるのは、壮大なスケールで描かれた未来都市の姿である。
どのシーンを切り取っても画になるハイクオリティな作画はもちろんだが、手塚が原作で1ページを使って描いたモブ(群集)シーンを再現した映像はとにかく圧巻。緻密に描かれたリアルな背景とレトロな雰囲気を残した手塚キャラたちが融合することによって、温かみをもった世界が展開される。
物語は、文明の絶頂に達し感情をもつロボットを生み出すまでになった人類と、その先にある悲しみという原作のテーマを踏襲しつつ、オリジナルのストーリーを再構築する形で作られている。脚本を担当したのは『AKIRA』の大友克洋。監督は『鉄腕アトム』の演出もした、りんたろう。豪華スタッフの共演で実現した文字どおり超大作アニメである。(井上新八)
日本アニメ史上最高の崩壊シーン
★★★★★
確かに登場人物の関係性が希薄なため、それぞれとても濃いキャラクターが登場しているにも関わらず、生かしきれていない感が否めません。この点において、ティマとケンイチの別れが、いまひとつ盛り上がりに欠けるのは必然なのかもしれません。
けれども、その時が来たら対象者を抱いて飛び降りるよう、私欲のためにプログラミングされたティマより、たとえねじ曲がった愛情であっても、命をかけて愛する人を守ろうとしたロックの方が世界を救ったという展開は、特筆すべき点であると私は思います。
このため、裏の(もしくは真の)主人公であるロックが、父親を愛するあまり押したボタンによって、ティマは失いながらも世界は救われ、築いた文明は破壊されたという終焉が、とても意義深いものとなっています。(逆に、ティマの残骸を集めて復活を予見させる展開は、単なるセンチメンタリズムのように思えます)
このアニメの中で、その崩壊シーンが最も美しく描かれているのは、そういった背景からくるものなら、私は☆を5つあげても悔いはないです。
ですよね?手塚先生。
えーまー
★★☆☆☆
さすがというか何というか絵はきれいですね。さすがベテランのりんたろう氏。すげー。
とまあこれで終わったらいいんですけどね。この作品お話の出来がどうにも良くない。
突っ込む場所はいろいろあるんだけど、一番の問題はラング版と手塚版混ぜちゃったことだね
労働者VS富裕層のラング版、ロボVS人間の手塚版の主軸を二つとも持ってきちゃったもんだから軸がぶれまくりの中途半端
よろしくないです
映像はいいんで、見る価値はなくもないです
大友作品っぽい
★★★☆☆
過去に何度か視聴しようとしたことがあるのだが、いつも途中でやめていたのだが、今回は最後まで見てみた。
率直にいうとあまり面白くなかった。
画面とか話の密度が濃いのは分かるんだが、いまいちそれが面白さにつながらない。
ところでこの作品、脚本が大友克洋だが、監督が大友克洋だといわれても疑わなかったと思う。そのぐらい大友作品っぽい。
見た目は派手なところとか、よく建物が崩壊するところとか。最後の大崩壊シーンは「アキラ」そっくりだった。
色づかいとかも「アキラ」に良く似ている。
良かったですが…
★★☆☆☆
映像美は素晴らしくストーリーも悪くはなかったのですが正直もう一度観たいとは思いません。それは絵柄もストーリーもあまりに古臭く陳腐でありキャラクター動きも昔のカートゥーンをただなぞってるだけで何一つ目新しさも日本アニメ独自の独創性というものが全く感じられない。アニメーターに安い給料で死ぬ程の労力を強いたにも関わらずである。これでヒットさせられなかったんだから大友以下制作陣の罪は重い。そもそもこのような時代錯誤極まりない作品を大枚掛けて映画化する意味が果たして本当にあったのか?大友克洋はただ単に自分の趣味に大勢の人間を巻込んで無駄に時間と他人の人生を消費したにすぎないのではないか?スチームボーイしかり大友作品は金食い虫である。ヒットしなかったという事は誰も求めていなかったという証しであろう。映画制作は慈善事業ではない。ましてや趣味や遊びで出来るモノではない。関わったすべての人々の生活が掛かっているのである。大友はこの事をどれだけ深く理解しているのか?師匠である手塚はどうだったのか?宮崎駿の痛烈な手塚批判の真意は実はすべてここにあったのである。最近になってようやく当時の虫プロスタッフであった富野ヨシユキの口から「あそこは映画の事を何一つ知らないマンガの絵にしか興味のない最低の人達の集まりだった」と手塚批判が聞かれる様になったが今は大友にこそ向けられるべき言葉ではないかと思った。
ラストシーンの映像の衝撃度はアニメ史上最高
★★☆☆☆
映像美にこだわって作っているのだろうが、個人的にはCGの使いすぎは違和感を感じてしまう。それでも最後の崩壊シーンの映像と音楽には今までのアニメに無かった新しさを感じて衝撃を受けた。びっくりした。あれを観るだけでも一見の価値はあります。