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メトロポリス (角川文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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 『メトロポリス』は、1949年に手塚治虫が発表した作品で、『ロスト・ワールド』(1948)、『来るべき世界』(1951)とあわせてSF3部作といわれる。本書には、この『メトロポリス』と少年が幽霊となって世界を旅する「不思議旅行記」の2作品が収録されている。

   太陽の大黒点が発する放射線によって、研究途中の「人造蛋白質」から人造人間を製造することが可能になり、天使のように美しく、兵器として悪魔のような力を持った人造人間「ミッチィ」が誕生する。

   同じ手塚作品の『鉄腕アトム』を思い起こすが、アトムにはロボットとしての自覚があるのに対し、ミッチィは自分が人造人間であることを知らされぬまま、人間として暮らしている。そして自分が人間ではなく、人間に利用されていることを知ったミッチィは激しく怒り、ロボットたちを伴って、反乱を起こすのだ。

   ミッチィは、機械の体を持ったいわゆる「ロボット」ではない。有機物として非常に「生々しい」存在であり、人間にもロボットにもなれない「悲哀」がある。その姿は我々に、人間が人間を「作る」ということへの倫理を問いかけている。科学の発展によって何かを失うことへの警告を一貫して発し続けた著者の思いがストレートに反映された作品だ。

   単行本版のみの特典として手塚治虫の手書き「構想ノート」を収録。下書き原稿はもちろん、著者が自ら2作品を講評する「自評」もついており、ファンならずとも楽しめる。(門倉紫麻)

手塚作品の方向性を決定した記念碑的名作 ★★★★★
娯楽色の強い”ロストワールド”と壮大な世界観が描かれている”来るべき世界”の間に挟まれて、やや線の細い感じがする”メトロポリス”ですが、後の手塚漫画の方向性を決定したという点でやはり記念すべき作品だと思います。

アトムの原型とも言える人造人間(それも両性具有の)ミッチィや、摩天楼聳え立つ未来都市、それを徹底的に破壊する一群のロボット集団、科学文明を悪用しようとする人間のエゴ、そしてあまりにも有名な、”おそらく人間も、発達しすぎた科学のためにかえって自分自身を滅ぼしてしまうのではないだろうか”というあのラストシーンなど、あらゆる手塚作品の要素がここにはあります。  若い頃は、自分の身の回りでもどんどん進歩が感じられる科学分文明の成果の中にどっぷりつかっていたので、手塚先生の科学文明観は、どうしてこう悲観的なのだろう?と思ったりもしたのですが、先生がこの作品を描かれたのは第二次大戦直後ー最新の科学成果イコール強力な殺人兵器だったという時代です。 果たして人類はあれから”精神的に”本当に進歩したのか否か、問われる時代に我々は生きていると思います。 この作品は21世紀になってアニメ映画化され、欧米でも公開されましたが、残念ながら映像の素晴らしさとはうらはらに、そのようなメッセージの深刻性を読み取ることが出来ずに残念な気がしました。 いまこそ、この原典の精神を呼び起こして欲しいものです。
日本SF漫画の原点 ★★★★☆
講談社の手塚治虫全集にも、この漫画が収録されているのですが
あっちの方は読みやすく手塚先生が手を入れた(書き直しした)のかな?
こちらの本の方が、最初に発表されたバージョンのようです。
非常に荒削りなのですが、今見ても面白いです。
当時の漫画少年たち(藤子両氏等)がこの本を読んで熱狂したのが分かる気がします。
人造生命体の少年(少女でもある)、労働ロボット、未来都市・・・。
60年前の日本ではどれほど斬新だった事か!!

そして最後の語り部の博士の締めくくりの言葉もずしりと重い。

「…科学の最高芸術である生命の創造は、ただ無駄に人間世界を騒がせただけだった」
「いつか、人間も発達しすぎた科学の為にかえって自分を滅ぼしてしまうのではないだろうか?」

60年前の先駆的漫画青年作家の慧眼である。
手塚ファンならお奨め ★★★☆☆
初版が昭和24年9月15日ということで、今から半世紀以上の漫画になります。

コマが大きく、話の展開が大変速いので理解しながら読まないと
読解することが困難になります(昔の漫画にはよくあるパターンですが)。

人造蛋白質から生まれたミッチィという主人公が人間社会と関わっていくのですが、
ストーリー的には現在の漫画に引けをとらない秀逸なものです。

作者自身、ミッチィをアトムの原型となった人物と評していますので、
興味のある人は読んでみることをお奨めします。

ディズニーのミッキーマウスをパロったもの(ミキマウス・ウォルトディズニーニ)、
というよりかもうほぼそのままなキャラクターが出てきたときは版権は大丈夫なのか?
と要らぬ心配もしてみたり(ウォルト社は版権管理が非常に厳しいことで有名)。

物語のラストが、手塚氏の中期の作品「人間ども集まれ!」に通ずるところがありました。

動きのあるコマ割りと絵が上手な漫画家が多い現在において、
単純に比較すると☆3つになってしまいますが、
初期のSF手塚漫画を見たい方にはお奨めの作品です。


かなりの初期ですが ★★★★★
多分、この中に収録されているのはかなり初期の頃の作品だと思います。

まだ、マンガというものが定着していない時代に、これだけの想像力を持てた偉人は日本が誇るものだと思います。
一見子供向きの内容ですが、今時の子供番組では絶対に取り上げられない大切なものが含まれています。
時の流れが感慨深い ★★★★☆
50年も前に描かれた作品なので、読み難さはありますが
作者のメッセージは今にも通じ、お話の中の未来が現在だったりするのが大変感慨深いです。