ポールのソロ・アルバム第1作。すべての歌と演奏をポールひとりで担当し(ごく一部だけ彼の妻リンダが参加)、自家製の味がぎっしり詰まった作品となった。当時の期待は高かったが、結果はどうだったか? すべてに納得できるわけではないにせよ、伝説を継続させるには充分な佳曲がそろっていた。「That Would Be Something」、「Man We Was Lonely(男はとっても寂しいもの)」、「The Lovely Linda」、いずれも及第点に達している。
しかし、「Maybe I'm Amazed(恋することのもどかしさ)」の前ではすべてがかすむ。ポールのレパートリー中もっとも色あせない魅力を持つ1曲として今なお人気があり、ビートルズ時代のどのナンバーと比べてもひけを取らない。ビートルズの『Let It Be』(邦題『レット・イット・ビー』)にこの曲が入っていれば、ぐっとアット・ホームなアルバムになっていたことだろう。(Chris Nickson, Amazon.co.uk)