『フレンズ』の比類なき脚本スタッフは、この重要なサード・シーズンで真の飛躍を遂げている。文句のつけようのない主役6人組が、それぞれが深みを見せ、キャラクターを掘りさげるエピソードを描いている。何より破壊的なのは、ロス (デヴィッド・シュワイマー)とレイチェル(エミー賞に輝いたばかりのジェニファー・アニストン) とのロマンスが崩壊することだ。原因はロスの嫉妬心。それに、このカップルの今では有名となった“別離中”に、ロスが一夜の情事に身を任せる一幕もある。フィビー (リサ・クドロー)は半分だけ血の繋がった弟(ジョバンニ・リビシ)と再会し、家族の友人(気の利いたキャスティングでテリー・ガー)と会い、フィービーの親についてダース・ベイダー的な爆弾を落とされる。モニカ (コートニー・コックス)については、リチャード(トム・セレック、「モニカの恋、再び…」で再登場)との別離からこのシーズンが始まるが、モニカによると“彼は完璧なの。すべてを持っているの。本当にすべてを持ってるもの”という百万長者のピート(『スウィンガーズ』のジョン・ファヴロー)とよりを戻す。チャンドラーは“トンネルを抜ける”ために次第に必死になっていき、ジャニス(マギー・フィーラー)との関係が本気となる。そしてプレイボーイのジョーイ (マット・ルブランク)は、最初は軽蔑していた舞台共演者を慰め、優しい一面を披露する。また、レイチェルの自己陶酔型の新しい上司役アリソン・ラプラカ、レイチェルの新しい恋人としてロスの前でのみ荒々しい気性を爆発させる、エミー賞に値するベン・スティラー(「 レイチェルの勘違い!」)といった脇役陣も忘れられない。
『フレンズ』における第一級のカメオ出演の歴史は続いている。ロビン・ウィリアムズとビリー・クリスタルは2人で宣伝するもの悲しい『ファーザーズ・デイ』と同じくらい愉快だ(「格闘技は男の美学?」)。さらに記憶に残る場面は、レイチェルが“免除リスト”といって、ロスの浮気相手として許せる有名人のリストを書き、そのリストから名前を消した直後に、無力なロスがそのイザベラ・ロッセリーニと出会うものがある(「彼女はイザベラ・ロッセリーニ?」)。ほかに『フレンズ』らしいエピソードには、シーズンの幕開け「マンハッタンの6人再び」と、モニカとジョーイ、ロスとフィビー、チャンドラーとレイチェルというカップリングが挑発される「衝撃!暴かれた過去」。ヒヨコやアヒルも登場し(「モニカの夢、実現?」")、この唯一無比のシリーズの高水準のシーズンとなっている。だが、それでも、DVDにキャストのコメントがほしいと思いませんか、みなさん!(Donald Liebenson, Amazon.com)