日本ドラマ史上最高傑作、原作から入った私も大納得、田宮二郎の迫真の最高演技
★★★★★
キャスティングの異常なまでの豪華さとハマり具合にまずは驚くことだろう。
原作の通りに忠実に作られており、間違いなく日本ドラマ史上最高傑作と言えるだろう。
黒と白、財前と里見、この二人の生き様に心を打たれ感動する。
里見の純粋な真っ白さ、財前の血を吐くような努力。
下から這い上がるために財前は人情を捨て、只管努力してきたのだ。
そして時折見せる母への愛情・優しさ、愛人ケイ子に見せる純粋さ・素直な一面。
本当に一生懸命やってるんだなと涙が出る。
そして俳優田宮二郎とどうしても重ねて見てしまう。
やはり涙が出る。
全世代の人に一度は必ず見て欲しい。
おすすめ出来る最高の作品である。
山本学に関して、藤原竜也と似ているなと思った。
藤原竜也が演技を真似してるのかな?
かなり似ていると思う。雰囲気が。
平成版と比べ圧巻 権力闘争の描き方はやや時代遅れ
★★★★☆
平成版と比べるのは意味がないという意見もあるが、
やはり比べずにはいられない。
こちらの方が圧倒的にいい作品だと思う。
財前、里見の人格も上昇志向の強く、そのために手段を選ばない人間の姿と
どこまでも潔白な生き方を目指す人間の姿が明確に対照的に描かれています。
実際には一人の人間の中にその両面が内在しているものと思われるが、
極端な描き方がかえってストーリーをわかりやすくしている。
平成版はそこが不明瞭。
大学内の権力闘争の部分は現在でもその種のことはあるのであろうが、
少し時代遅れの話に見える。
現在の医療現場はあの種の権力争いにエネルギーを注げるほどのどかな現場とは思えない。
医師不足の問題、医療の地域格差など医師が権力闘争にあけくれてなどいられない課題が山積している。
後半の誤診については現代的意味があり、裁判の場面なども大変興味深くみることができた。
ここには医学界の縦社会の人間関係の難しさが見える。
特に財前の配下で学ぶ柳原医師の葛藤はリアルである。
社会の中では柳原医師が追い込まれているようなジレンマに陥ることは多々ある。
もし自分が柳原の立場だったらどのように振る舞うか、
問題を突きつけられているようにも感じた。
平成版と比べてみてください
★★★★★
恐らく映画に比べ低くみられがちのテレビドラマが作品の内容では映画を越えることもできると広く認識された作品のひとつだと思います。今の医療作品の原点であり、故田宮さんの代名詞的作品です。映画には映像美という点ではテレビドラマという撮影のためスケール感などで劣る点はあると思いますが、話を細かくやれる点では映画より優れていると思います。
特にこの作品は人間の内面が作品の大きなポイントとなるので、登場人物の内面を深く読みたい方にはいいのではと思います。リメイクの平成版は内容を一部変更することで話を判りやすく、なじみやすくしている点は好感触ですが、この作品のよくも悪くもというべきアクの強さにやや欠けていたといった印象です。もちろん、もうこういったアクの強いのはいいという方には平成版がいいと思いますが、やはりこの作品の魅力はアクの強い人間の醜い心だと思うので、できればそういった方もこの作品はチェックしてみて下さい
一度じっくりと観たかった作品
★★★★★
この作品には様々な対比・対立関係が描かれていると思う。
医師と患者、教授と助教授、大学病院と開業医、富裕と貧困、権威と弱小、原告と被告、良心と利己主義、社会正義と人情のしがらみ。それらが複雑に絡み合い、もつれ合い、一筋縄では行かないどろどろとした人間ドラマを展開してゆく。
一話観終わるごとに続きが気になって、はらはら、どきどき、やきもきしながらもう一話、もう一話と先を進めて行った。根を詰め過ぎ、あとでぐったりするほど集中して観た。
とにかく田宮二郎の存在感が凄い。鋭い視線、厳しい姿勢、時折見せる気弱な表情、涙に滲む目。言葉無しであそこまで様々な感情を表現できる名演技に深く感じ入った。
最初のうちは、田宮演ずる財前五郎に同感・同情できる部分もあるのだが、それが徐々に傲慢、権力むき出しの独裁者になってゆく、その過程が非常に面白いと思った。ダーティーヒーローとしての財前を応援したい気持ちと、社会正義に鑑みて制裁を加えてやりたい気持ちと、相反する二つの感情に左右され、観る側の心も大きく揺ゆれる。財前が医師としての良心に目覚める時、実に悲しい結末が待ち受けていて涙を誘う。愛せないけど憎みきれない、捨てるには惜しい才能と生き様。人間の醜さと素晴らしさをこれほどまでに身近に切実に感じさせてくれる作品は滅多に無いと思う(最近作られたリメイク版、どうしても田宮版と比較してしまい、素直に楽しむことが出来ない)。さすがはドラマ史上に残る名作である。
田宮二郎の鬼気迫る演技がすばらしい。
★★★★★
このテレビドラマは、10年に一本だと思われる最高傑作だと思う。今なお燦然と輝く歴史的な作品と言っていいだろう。テレビドラマの金字塔である。医者、看護士を取り上げたドラマは数多いが、この作品と肩を並べるテレビドラマは存在しないと思う。
重厚な人間ドラマにしているのは、浪速大学に勤務する財前五郎と里見脩二という対照的な人物の取り上げ方だ。医者を極端に2つに分けるとすれば、お金以上に地位や名誉、権力を欲しがる医者と、出世欲もなく、地方、地域に根ざした医療を目指す医者とに分かれると思う。前者は財前五郎で、後者は里見脩二だろう。
この作品の原作者である山崎豊子の功績が大きい。大学病院に徹底的な取材、医学界に鋭いメスを入れ、腐敗を暴き、それを文章にするのだから並大抵ではない。サンデー毎日に連載当時、読者から反響が大きかったのは、それだけ内容にリアリティーがあったと思う。
財前五郎という一人の人間の生きざまを描いた作品ともいえる。