1997年の初頭ごろには、ブリット・ポップは音楽シーンでの影響力をライバルたちよりも失っていた。そこでブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンは本作で、そのレースから降り、彼が入れこんできた別のタイプのロックを追求すると公言した。本作の大半のトラックでは、ブラーがアメリカのインディーズ・ロックの簡潔な構成と遠回しな歌詞（本作で最高のフックは「woo-hoo!」と歌っている部分だ）を見つけ出したことがわかる。それこそがブラーが自由になるための戦略なのだ。英国の夢を体現する必要がなくなったアルバーンは、美しいメロディーや遊び心に満ちたトラックを生みだすことができる。お気に入りのレコード（「M.O.R.」はデヴィッド・ボウイそのままであり、「You're So Great」ではガイデッド・バイ・ヴォイシズのプロダクション・ワークなしのスタイルに取り組んでいる）をあからさまにパクったトラックにさえ、アルバーンはその才能あふれるソングライティングで、一聴して彼だとわかるセンスを加えている。（Douglas Wolk, Amazon.com）