役者はこれだからやめられない。まるで観音になった気分だったよ。
★★★★☆
込み入った事情があって舞台に立てなくなっていた女形蘭陽と
まだ世に名を知られていなかった春朗(葛飾北斎)の二人が身近に起きた怪異や事件を探る短編集。
主役に夏舞台の話が持ち上がり大喜びしていた蘭陽でしたが、実は今まで舞台にたてなかった理由は深刻なもので……という表題作もいれて12の短編が載っています。
きりりとした美形の女形蘭陽が得意のとんぼをきって悪人をたたきのめしたり、
すいかをかぶった子どものスイカ泥棒を助けてやったり、
大活躍を見せてくれます。
なかでも面白かったのが「階段を逆立ちして降りてくる娘の幽霊」の掛け軸のお話『さかだち幽霊』
ぞっとする絵の描写から意外な展開そして涙の終わりまで、短編にするのが惜しい素材がギュッと詰まっていて読み応えがあります。
蘭陽のサバサバした性格が気持ちよい短編集です。
絵から離れた
★★★☆☆
だましゑから離れてしまっている。
話としては面白いけれども、蘭陽ばかりに照明が当たりすぎた感じだ。
次で本流に戻って欲しい。
春陽、再び登場です
★★★☆☆
女形の蘭陽が主人公ですが、のちの葛飾北斎である春陽とコンビを組みます。でも、舞台っぽい仕掛けで事件を解決する短編は少なく、沢田ふじ子ばりの人情ものが中心です。その分、蘭陽による腕ずくで事件を解決しているところは、シリーズファンとしては残念です。
人情話+幽霊譚
★★★★☆
「だましゑ」シリーズ第4弾の連作短編集です。
このシリーズもキャラクターがどんどん増え、時代も田沼意次の時代から松平定信の時代に移り、今回のメイン・キャラクターは、女形でとんぼを得意とする蘭陽が「きらら舞」を武器に春朗(葛飾北斎)と共同で大活躍をします。
全部で12編の短編からなっていますが、全体で一つのストーリーになっていて、中には母親が殺され残された遺児を養子にしようとする話や、かつて世話になった年上の女性(?)への想いを胸にしながら追い詰める話など、人情話が心を和ませてくれます。
その合間合間にお馴染みの幽霊譚が挟まれており、なかなか楽しめる作品になっています。