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春朗合わせ鏡 (文春文庫)

価格: ¥3,082
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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おめぇは向いてるよ。おめぇの絵の腕が役に立つ。 ★★★★☆
 まだ名が出る前の葛飾北斎は「春朗」と言う名で絵を書いて暮らしていた。
 筆頭与力の仙波一之進の屋敷にやっかいになっていた時期もあったので、市中の探索を頼まれることもある。
 寄せ場から出てきたばかりの知り合いから、寄せ場の中で起きた隠された殺人の話が持ち込まれ……。

 若き日の葛飾北斎が主人公の短編集。

 生真面目で地味な春朗に対して、このお話は女と見まごう美貌の元女形蘭陽が脇役で登場し場面をもりあげてくれます。
 家族の確執などをからめながら、絵師ならではの視点で事件の本質にせまる春朗の活躍が楽しい本。
 とくに筆についてあつかった「いのち毛」は読んでいて唸りました。

 
 
中編ぐらいにしておけば・・・ ★★★★☆
シリーズ物の第三弾です

シリーズ物と言っても主人公は違うのですが、最初の作品を読んでいないと判り難いかもしれません。だから最初に
『だましゑ歌麿』(長編)
次に
『おこう紅絵暦』(短編)
そして本作品と続いており、人間関係が判り難いので、前作を読む必要があると思われます。
シリーズ最初の作品(だましゑ歌麿)が非常に面白いので観て下さい。
しかし、第二作の『おこう紅絵暦』は少々物足りない作品に仕上がっています
第三の作品である本編は短編なのですが、短編にするには惜しいほど良い仕上がりのようです
中編辺りに書き換えたら、きっとシリーズ最初の『だましゑ歌麿』に近い作品に仕上がったろうと思うほどのできです。
その昔、東京がお江戸と呼ばれていた頃 ★★★★☆
仕草や所作で話題の江戸の町。物語は江戸の町とその周りで展開する。やはり食事の場面の何気ない説明が素晴らしい。いつの時代にも正直者はいるし、悪事を働いて金儲けをしようと企む者もいる。
大都市江戸は人情に溢れ、人々の思いやりが町を作り上げたのだと実感できる本だと思います。
江戸の町の「謎」を解く錦絵師 ★★★★★
「おこう紅絵暦」の続編で、主人公をおこうから春朗に変えて、文政の世の江戸の町に起こる「謎」を解いてゆく物語です。
内容的には七編の短編集の形を取っていますが、全体としても絵師春朗が、叔父の養子となり御用鏡師にならないかという話に、悩みながら決心を固めるまでを描いています。
ミステリー的な構成を取りながら、江戸の町の様子が手に取るように感じられ、切れの良い文体が魅力の作品です。
時代物の作品が好きな方にはお薦めの一冊です。