手元におきたい1冊
★★★★★
図書館でこの本を借りて読んでいるうちに
手元に置いておきたい気持ちが強くなり、購入しました。
読んで、何かの料理をさっと作るということはないかもしれませんが、
料理に対する姿勢を学ぶことができます。
これまで料理をしてきて、疑問に思ったことが解決されたり、
間違っていたことをしていたことがわかったりしました。
特に、「どうして私のお味噌汁は美味しくないのか」と思っていましたが、
お味噌汁に関しては劇的に味に変化がありました。
6歳の娘と2歳の息子を育てながら共働きで忙しく、
毎日、何を食べさせようか悩んだり、
また、本当に私が作っているのは家庭料理なのかと悩んだり、
一生懸命作ったものが食べてもらえないことに憤ったりしていました。
けれど、結果はすぐにでるものではないという風に思えるようになり、
遠い先でもいつか母の味として確立できればいいかと思いました。
愛情の積み重ね
★★★★☆
「一日が十日、十日が百日、一年が十年、十年が一生。化学だしで食べる人と、かりに味がそこそこでもしっかり自然のだしからつくったものを食べた人の生涯を比べてみて下さい。日本のだしは、何の難しいことも、手間らしい手間もかかりません。諸外国のスープに比べれば、即席に準じてひけるものです。ですから、時代の中で自己実現を志す方々は、男も女も、だしくらいはひける人になっていただきたい」
去年の12月のNHK「きょうの料理」のテキストで、辰巳芳子さんのおせちとそのエッセイを読んで購入を決めました。この本にも、上のような、生真面目なお姑さんぶりが垣間見えます。
とはいえ、包丁の持ち方から図解されないと分からない初心者向けではないので、星は4つにしておきます。お台所に持ち込んで慌ててページを探す人向けではないです。
ただし、お料理好きにはお勧めで、辰巳さんご自身が「はじめに」で仰っているように、一度はじめから終わりまで通読する価値はほんとうにあると思います。ある程度台所に立っている人なら、思い当たること、分かること、改めて確認されることも多いのではないでしょうか。
家庭料理の基本を見据えたこの本には、示唆も豊かです。たとえば、「鮭ひとつ焼くほどのことに、口を真一文字に結んで」の真剣な取り組み方で親子代々伝えられてきた、“強火の遠火”。辰巳さんもいろいろとご自身の工夫をご紹介くださっているのですが、「ガス器具メーカーが、三年位本気で考えれば、焼き魚を好む日本の暮らしに貢献できるのに…。七〇歳になろうとする私の幼少時と魚焼き網はほとんど進歩がありません。黙っている女性にも責任があるのです。」と結ばれている。
手間をかけることを嫌うご時世のように見えて、辰巳さんのファンは意外と多いようですよ。
超絶
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いろんな料理本がありますが、その中でも普遍的で最も素晴らしい一冊だとおもいます。
母から子へそしてその孫へ。日本女性のスタンダードでもあるとおもいました。是非一度手にとっていただきたいものです。
生命の力となるような料理
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「読む」料理の本である。
最近多い大きな写真入りのパッと目立つ本ではない。
ぱらぱらめくっただけでわかった気になるような箇条書きのレシピでもない。
だがところどころに掲載されている料理の写真は、品が良く(器も素晴らしい)とても美味しそうだし、
作者が前書きでお願いしているように最初から最後まで一度通読することで、
料理全体に応用可能な段取りが身に付く。
たとえば、茄子のあく抜きひとつをとっても、
本書には大変理にかなったやり方がのっていて、
一度身体で覚えると他の料理を作るときにも役に立つのだ。
限りなく応用可能。
料理とは頭で理解し、身体で覚え、心をこめてするものだということを、徹底して教えてくれる。
堅苦しく考えず、ゆっくり向き合いたい一冊。
料理を習っている感じがする本
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今まで何冊か買った料理本というと、使い勝手のよさから、食材で引けるものが多かったのですが、この本は日本の料理の基礎である「だし」から始まり、「汁もの」「鍋仕立て」「蒸し物」「煮物」・・・・というように主に調理法での章立てがされています。
各レシピもまるで語りかけるような口調で材料の扱い方についての注意点などに紙面を割いているため、使い勝手の良さ悪さでは語れない、先生についたと思って料理を習う、という本です。
今まで自分が知っている限りの食材での料理に飽きてしまった人、特に和食でのレパートリーを広げ、もてなし料理もうまくなりたいと言う人にはうってつけではないでしょうか。