文学者の凄さ
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本書は2008年10月〜12月にかけてNHKラジオ第2放送で放送された「カルチャーアワー文学の世界 新訳『カラマーゾフの兄弟』を読む 父殺しの深層」のテキストです。従って、テキストよりは実際のレクチャーのほうが重要なわけですが、このテキスト自体もロシア文学者としての亀山郁夫の非凡さ・個性が溢れていて、今後再度この古典を読み返す際の、重要な指針となる位置を占めていると思います。
外大の学長という多忙な職務の合間にこのような非凡なレクチャーを行うこと自体が奇跡に近いと考えられますが、同時に教育者としての責務として「文学は今の時代にあっても決して廃れてはいけない。まだまだ、人間の生き方に重要な影響を与える得る事ができる」ということを言いたかったのでしょう、公開録音という場を借りてレクチャーというサービスをする事によって。
放送時の録音を手に入れて、ぜひとも聴いていただきたいと思います。亀山先生の熱意が伝わってくるわかりやすく、素晴らしい講義ですよ。