ドスト氏が好きな方、もっと魅力に浸りたいという方、一度
でも「罪と罰」を読んだことがある方、是非読んでください。
江川氏が、より深き世界へ誘ってくれるでしょう。
退屈だった。何度読むのを投げてしまおうかと思った事か。そりゃ確かにそういう読み方も可能かもしれない。ドストエフスキーは念密に登場人物の名前や、セリフの言いまわしに二重三重の意味を持たせていたのかもしれない。しかし私にとって重要なのは、ラスコーリニコフは最後には罪の意識を持ったのか、彼はその気持ちをどのように変化させていったのか、ポルフィーリが仕掛けた罠と彼が掴んでいたという動かぬ証拠とはなになのか。スヴィドリガイロフは本当に妻を殺したのか。そういういわば、小説の筋に沿った分析なのだ。しかしその事に半分もこの訳者は答えようとしていない。唯一凄いなあと思ったのは、ラスコーリニコフとソーニャが実はあの時点で結ばれていた、という事の証明なのではあるが、それは最後のほうにやっと出てくる。この本は最後の一章か二章ぐらいが一番面白かった。