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古代中国の文明観―儒家・墨家・道家の論争 (岩波新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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現代に語りかけてくる、古代中国文明論 ★★★★★
 書物の出版、執筆の動機が「あとがき」で次のように示されている。
 
 環境科学研究科に所属したのを契機に、これまでの思想史的手法から少し離れた立場で、古代中国文明について考えてみようと思い立ち、本書を執筆した。
 
 いわゆる「儒教思想」「老荘思想」と言われてきた思想・文化に属する精神面とは「ベクトルが逆」の(物質)文明の面から、これら在来の儒家・墨家・道家の文明観の位相差を論じることになる。簡単に言えば、儒家は「文明の全面肯定」、墨家は「節約型文明」、道家は「文明批判」である。本書の中軸をなす第3・4・5章に詳述されているのでそれらを読み取ればいいわけであるが、次のように要約できるだろう。
 儒家の立場は、あくまでも文明の高度な発展を全面的に肯定・是認する楽観主義である。
 墨家の立場は、文明社会を維持していく立場から、実用性に徹する節約主義である。  
 道家の立場は、文明に絶対の価値を認めず、一切を相対化する文明批判主義である。

 これら古代中国の文明観が、環境問題をかかえる現代に語りかける意味は大きい。著者はそのことを心に本書を執筆した。しかし、西欧近代文明の歪みから発した自然破壊・環境問題の視点で捉えて捉えきれない齟齬がありそうだ。新観点からの提言とみよう。まだまだ述べ尽くされていないところを発展・深化させるのは、これからの我々であるという思いしきりである。
驚愕の儒教観 ★★★☆☆
この本全体のレビューは他の方のものを参照して戴くとして、
孔子及び儒教が以下のように一刀両断されている記述を読んで
仰天しました。

「・・・孔子の礼学は、彼がかき集めた一知半解の断片的知識を、
自分の想像力でつなぎ合わせただけの、空想の産物でしかなかった。
このように孔子の思想活動の出発点そのものが、極めて詐欺的な
性格の強いものであった。しかも孔子は、魯に周に代わる新王朝を
樹立して自ら王者となり、わが手で復元した周初の礼制を地上に
復活させようとする誇大妄想に取り憑かれる。・・孔子はこの
狂気を帯びた妄想を引っ提げて諸国を流浪し、各国の君主に
その採用を求めたが、どこの君主からも全く相手にされず、
もとより実現はしなかった(p.66)。」

儒教が孔子以後二千年以上にわたって東アジアにおいて生み出して来た
質・量共に厖大な知的遺産を承知の上で、上のように総括されるという
のは、ただただ驚くばかりです。

二千数百年前の英知 ★★★★★
著者も言うように「古代の黄河文明と現代文明とでは、自然に対する破壊力に雲泥の差があるから・・・そこには多くのアイデアが含まれているとしても、その中のどれかを選択すれば、ただちに問題が解決するわけではない」。
しかしそれを補って余りあるほど諸子百家の思想は魅力的である。少なくとも一人の人間として社会の中で(あるいは外で)生きていくための知恵にあふれている。
この本の優れているところは、その古代の思想を、現代語訳を添えた原典からの引用に最新の発掘資料なども交えながら、きちんと整理された形で提示してくれていることだろう。
とくにこの本の原典からの引用方法は、「これくらい読めて当然だろう」と言わんばかりに読み下しだけ載せて平気な顔をしている他の新書の著者に見習ってもらいたいものだ。
だから儒教は支配者にとって都合が良いのかと納得 ★★★☆☆
 黄河流域はもともと鬱蒼とした森林地帯だった。文明の発達は人間に恩恵をもたらしたが、自然破壊の結果もまた、人間が引き受けることになった。そうした状況に生まれた中国諸子百家の思想。
 文明と自然はどう向き合っていくのかという観点の違いからみると、儒家、墨家、道家が対比的に理解できる、という話。これらの思想を理解するうえでは興味深い話だったが、現代文明に対して自分がどう向き合っていくのが良いのかについての示唆を期待していた私としては、肩透かしされた気分がある。話は最後まで三者の対比にとどまる。
面白い着眼点だが ★★☆☆☆
古代中国の環境問題をとらえ、その視点から儒家・墨家・道家を論じた書。三者の思想をそれぞれ楽観論、節約論、文明批判論とした構図は現代においてもそのままあてはまり、理解しやすい。
ただ逆に言えば、現代の観点から古代思想を無理矢理三分したような印象を受ける。「天人の分」は楽観主義にどう結びつくのか、墨家は環境問題をどこまで意識していたのか・・・このあたりの説明に強引さも感じる。
各思想家に対する説明はわかりやすいので、一つの観点として読むには面白い一冊ではある。