アメリカ外交論の古典
★★★★☆
冷戦初期、マッカーシズムが吹き荒れる情勢下で、国務省のソ連専門家ジョージ・ケナンが行ったアメリカ外交についての講演を本にまとめたもの。
ケナンはソ連の脅威を説いた「Long Telegram」、封じ込め政策を提言した「X論文」で名高いリアリストだが、本書においても彼の現実主義的視点はいかんなく発揮されている。米西戦争以降の20世紀前半の米国外交政策について、世論のきまぐれや法律的・道徳的アプローチに左右されすぎており米国の国益という観点が希薄であったと指摘し、ソ連との冷戦を戦う上ではより冷静な対外政策決定が求められると結ぶ。
講演を活字に起こしたためか、英語も非常に平易で読みやすい。