ここまでやってこれたのは、きみの能力と助力のおかげだ
★★★★★
彷徨える艦隊シリーズ第2弾!
本作品はSFミリタリー物に分類されると思うのですが、最近の私の関心の方向性のせいか、ビジネスにおいて多くの示唆を与えてくれる印象を受けました。今回のテーマはリーダーシップです。
自分の率いる組織で離反者が出たとき、リーダーはどう対処すべきか。労働者の流動性が高まっている現代において、十分あり得るシチュエーションです。離れていった者に対する感情以上にリーダーは残ったものへの配慮しながらどうすればロイヤリティを維持して成果を出すか?リーダーとして力が試される場面でジョン“ブラックジャック”ギアリー大佐は難関をどう乗り越えるのか?非常に興味深く、また学ぶことの多いシリーズだと思います。
2作目にはいってギアリー大佐のみならず、艦隊艦長たちやリオーネ副大統領の人物像も深まってきてますます目の離せない展開になってきました。
また、ストーリーとは別に、対象を置き換えればそのまま自分の戒めとなるようなフレーズが多いことも好きです。
「伝統のせいで軍には“成果よりも変化の欠如を大事にする人間”が集まる」
「実績を認めてくれる指揮官と、おだてて利用しようとする指揮官。その差は歴然としています」
「無知が幸せなのは、自分が無知だと気づかないときだけだ」
「部下を信用して仕事を任せるより、信用せずに自分で細かく管理するほうがずっと簡単だ」
「クルーに感謝し、いつも気にかけていることを、クルーに示さなければならない」
というように、結構ぐっときます。
スタトレ好きなら結構楽しめる、と思う
★★★★☆
「彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス」の続き。
あらすじ通り、もう一人の「英雄」が登場するも、これがもうイケイケで無能で悪い人じゃないんだけど非常に困った人物。自分を有能と信じ込んだ無能な人って、本当に困るよな…。
相変わらず反発している馬鹿どもはこのファルコ大佐と一緒にいなくなってしまい、その方が面倒がなくて良い気もするが、やっぱり戦力がなくなるのは困るんだろう。それに、彼らの部下まで死んでしまうのは気の毒だ。
ましてギアリーらにとっては、大切な仲間であるからして。
映像で見ればさぞ迫力のある戦闘シーンも、文章だと今一つ乗り切れない。専門用語が分からないからだろう。何となく流れがつかめればいーや、ぐらいの気持ちで読んでも十分面白いので、そこは問題ないけど。
ギアリー自身にも変化があり、物語も随分風呂敷を広げてくれているが、このシリーズ、ちゃんと最後まで翻訳されるのかとても心配なので、ぜひみんなで読もう!
「スタトレ」好きなら結構楽しめるぞ!
逃避行は続くよどこまでも
★★★★★
ミリタリー物スペオペ好きな方にはお勧めです。
あらすじにあるように、2巻ではファルコ大佐登場、反抗的な艦長が離反、さようならします。その一方で、他の脳筋艦長達もギアリーに感化され、艦隊としてのまとまりも出てきます。前巻に引き続き、敵の待ち伏せをかわしたり撃退したりしながら逃避行は続きます。そして主要メンバーを補強する有能な艦長もちらほらと登場してきます。
英雄さまだけあって、敵がどんなに罠をかけても本人や周りの人が見破るなど順風満帆すぎるところが玉に瑕。まあ、逆境の連続だと、普通死んでますになっちゃうし、本当に罠にはまると即終了ですからよしとしましょう。玉砕しないよう彷徨いつつアライアンス宙域に帰るのが任務ですから、平穏な時期も必要ということで。
ハイパーネット必殺技の話を盛り込んだあたりが、大風呂敷すぎてちと不安を感じるところですが、原書は好評のまま5巻(2009/4)まで逃避行が続いているようですし、このまま順調に刊行を期待しています。