一味違うの
★★★★★
ゴードンの1961年作。ひたすら平和な一枚。彼のテナーは一味違うなあ。様々な要素を吸収しながらも、完全に独立的なサウンド
を創造したテナーマンだろう。
一番の特徴はやはりフレージングの妙。もはやこれは確信犯的なところが大きい。最初から最後まで耳に馴染み易いフレーズで
貫き通す感性が面白い。ある意味、閉じられた部屋で研究に没頭してるような、そんな男性的な遊び心を感じてしまう。
男性的と言えば、トーンも男性的なんだが、、こちらはもはや男性的な色気が一種振りきれて女性的な薫りさえしてくるのだ。
ロリンズのテナーを心地よいと形容するなら、ゴードンはもはや平和だ。遊蕩しすぎるぐらいに。まあ最終的にまとめちゃえば
彼ほどワンホーンが似合う人はいないだろう。間違いなく。ソロの持ち回しによるグルーヴがいらない。彼のテナーだけでいい。
不器用で男性的なゴードンの魅力
★★★★★
高倉健ではないが、不器用ですからというぶっきらぼうで誠実な男の呟きが聞こえてきそうなゴードンのBNアルバム。50年代後半を麻薬で棒に振ったゴードンが、60年代になって俄然実力を見せ付けたのがBNでの一連の復帰作。ここでは、ワンホーンで、ゴリゴリ吹きまくる男性的魅力いっぱいのゴードンと出会える。決して器用ではないが、必要なまでにトーンとフレーズにこだわり、歌心あふれるゴードン節を聞かせる。やや後乗りのフレーズはジャッキー・マックリーンにも共通した哀感と誠実さを感じさせる。また、60年代にはいって、ロリンズからコルトレーンへの転換を見せ、時代へ果敢に身を投じている。ゴードンをはじめ、コールマン・ホーキンスといい、スタン・ゲッツといい巨匠が新たな挑戦をする姿はカッコいいものだ。
くつろぎの快作
★★★★★
麻薬禍から復帰したゴードンは、ブルーノートに精力的に吹き込みを続けてゆく・・・いや、使命感に駆られたプロデューサーのライオンが強引にレコーディングを続けたと言った方がよいだろうか。本作はBN第二作、前作はフロントに新人フレディ・ハバートにホレス・パーランのトリオを従えての演奏であったが、ここではワン・ホーンで旧知の仲であるケニー・ドリューのトリオを従えて堂々の演奏を繰り広げる。ゆったりとくつろいだ気持ちにしてくれる作品である。