性虐待の経験のある方、性虐待被害者の相談になる方必読です。
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ご自身が性虐待の被害者で、その事実をこうもポジティブに乗り越えている筆者に本当の頭が下がります。いくつかのタイプに分かれる虐待の中でも性虐待が一番最悪だと思います。筆者は性虐待の加害者の支援にも乗り出してあると記載してあります。性虐待の一番の問題は加害者です。加害者を変えることが一番困難です。一般の方もこの本のを読んで、性虐待の加害者を作らないようにするにはどうしたらいいか、考えませんか?
未来はまだ汚されていない
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作者は自身も幼い頃に性虐待に遭い、先ずはその体験が綴られている。
「こんなに酷い事があっていいのか」と、愕然とした。想像以上の重みと苦しみ。
読みながら何度うめいた事だろう、思わず口を手で押さえ、体のふるえをやり過ごす。
だが目を背けてはならない、これが現実なのだ。
「こんなことはあり得ない!」と否定してはならない、性虐待の防止や被害者の回復がそれでは遅れてしまうから。
性虐待についての実態の次は、被害者がどう過去のトラウマを克服していくか、その具体的な方法が書かれている。
加害者の心理や、サポートする人たちの心がけも載っており、この一冊で性虐待についてのほとんどを知る事が出来るだろう。
性虐待に興味を持った人には、まずはじめにこの本を紹介したいと思う。
実際に被害に遭った人なら、勇気づけられ、安心を得る事だろう。
この本を読んで、被害者が回復するには、なにより「知識」「知恵」が必要なのだと確信した。
あなたを救う道具はさまざま存在する。
重要なのは、その道具をいかに使用するか、と言う事だ。
感情だけでは乗り越えられない壁がある。その時、どうすれば良いのか。それを解決する為の「知識」や「知恵」だ。
そして我々第三者が出来る事は、その「知識」「知恵」を広く公開する事だ。
傷つき苦しんでいる人々の目に、少しでも早く届くように。
自ら性虐待被害者の自助グループを作り、他の被害者のサポートを行ってきた作者の「生きる力」に感動した。
過去によって未来を失う事はないのだ。決して。
虐待被害者への理解を深めてくれる
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周囲の人々の、被害者に対する無知・無理解・共感のなさ・無思慮な言葉・偏見が、虐待の事実に劣らず、被害者の後の人生と回復に大変深刻な影響を与えていることを知りました。
著者は「被害者だけでなく、被害者の家族や友人、深い心の傷を負った人たちのサポートをする人たちの、性虐待被害者への理解と共感をもたらす助けとなることを望んでいます。そして、性虐待を私たちの社会の問題として、多くの人たちに伝えられることを強く願っています。」と書いていますが、性虐待とは無縁であると思っておられる方々にとっても必読の書であると私は思います。
性虐待とその後遺症による苦しみは軽く見られがちかもしれません。しかし、それは単に不快なこととして目を背けて蓋をしてしまうべきことではなく、身近な問題として受け止められる必要があると思います。そして理解を深めなければなりません。
乳児を愛せない、子どもを殺してしまうかもしれないと訴える母親、子供に暴力を振ったり実際に殺してしまったりする母親に関する報道や、子供の自殺の報道は後を絶ちませんが、そうした事件の何割かは性虐待の問題と無縁ではないかもしれません。決して別世界の他人事ではないと思うのです。
実際的なサポートに関する知識をも得ることができました。著者の勇気と働きに大変感謝します。
性被害を乗り越えたスライバーの本
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かつて機能不全家族に苦しんだリンダさんの著書。リンダさんの毒親は子ども達(姉妹も同じ被害に遭っています)の身体を搾取するのみならず精神的殺人を繰り返しました。大人になって再び両親に向き合った時、彼女は自分の親と言う人間達は「何を言っても無駄」であることを悟ります。そう思えるまでの葛藤、苦しみは乗りこえた彼女だからこそ語れる内容です。
親の裏切りは子どもの心を破壊します。心の傷は自分が思うよりもはるかに深い。その事すら分からなくしてしまうのが、近親者による性虐待です。世の中には親からの性被害が原因で苦しんでいる人が数多く潜在していると思います。タイトルだけで怖いと思わないでぜひ読んでみて欲しいと思います。自分と同じ苦しみを持つ人を救いたいと願うリンダさんの声です。あなたの中の苦しみが少しでも早く解き放たれるように。
自分の性虐待を乗り越える
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性虐待は時にその記憶を奪う程に人に強い傷を付ける。性虐待には大きく分けて2つのパターンがあると思う。
1:見知らぬ人からの性虐待⇒死への恐怖(殺される可能性)
2:日常的な知人からの性虐待⇒終わりの判らない恐怖(明日も又その次の日もこの行為が続いて行くのだという恐怖)
特に家族からの性虐待はその終わり無き日々と、他者に理解される事=家族の社会的地位の剥奪に繋がる為それを表面化する事はもっとも近しい他人を敵視化する事でもある。
ましてやそれが子供に対して行われる場合には、自身で生きて行く力が無い為生かしてもらう事=性の提供となる。こんな土壌が日常的な生活の中で生き生きとした性への理解が子供に育つ筈もなく当事者は辛く暗い問題の中で孤独に行き場を失う。
この本は著者の自身の性虐待との闘いと回復の記録である。その中で成し遂げて来た事それが著者の自尊心の回復に何処まで寄与したかが生き生きと書かれている。訳者の日本語化への強い意気込みと、著者がくれる同じ虐待を生きる人への肯定的なメッセージと体験は全ての人間に人として尊敬され愛され生きる事の尊さを教えてくれる。