あま〜り〜に革命的な
★★★★★
本書は1968年の革命について書かれてはいるのだろうが、1968年の革命について知るには適していないと思う。そのパースぺクティヴのあまりの深遠さに、逆に‘ジャンク’と化しているからだ。しかしこれを‘パフォーマティヴ’と見なすならば理解出来るし、そう‘誤読’でもしなければリアリティーを感じられない。本書の内容を理解できる人は、あらかじめ本書の内容を知っている人だけだろうから積極的に薦めることはないが、‘68年マニア’にはたまらなくテイスティー。
左翼文献のブックガイド
★★☆☆☆
1968年を一つのパラダイムシフトの時期としてとらえるというのは、お話としては面白い視点だと思う。実際、あの時代に目指されていた文化的革命が、空っぽな「イメージ産業社会」といった皮肉な形で「実現」されてしまっている現代を見ていれば、ある意味当たっているとさえ言えるかも知れない。
しかし、結局、今後につなげるべきパースペクティブが全く不十分にしか示されていないのも確か。最後の最後で「マルチチュード」なんて言葉を出されても、なんだか取って付けたようで、「だから何?」と言いたくなってしまう。
この著者は頭が良くて、また知識もあるのだけれど、そこにはどうも肝心の「知性」がないように思えてしまうのは私だけか?
色々と左翼的文献がリストアップされていて、この時代について勉強するのにはなかなか便利な「ブックガイド」的な役割を果たしてくれるのは「買い」。そういったわけで、星二つ。
真面目に読むと報われない
★☆☆☆☆
最近の現代思想における戦後論を見取るうえでは小熊「民主と愛国」、道場親信「占領と平和」、そして本書が参照点になるだろう。著者のスタンスは戦後民主主義否定、プチブル急進主義連続論による「68年肯定論」なのであろう。しかしそれがアクチュアルな問題と全く響きあっておらず、ずらしによる観念操作+編集者ゴロ話が延々つづく。これじゃ「68年つぶし」だよまったく。
○○も××も「左翼」だった!
★★★★☆
坪内祐三氏の1972という本がありますが、この本は渡辺直己氏の近著とともに68年を取り上げています。何故68年なのだろう、パリ五月革命となにか関係あるのか、と思って見ると学生運動の細かい話が沢山出ていて、そういう資料なのだなと索引を見ると、吉本隆明が一番多く、岩田弘、神津陽等がそれに続いています。でも吉本は批判的に取り上げています。何か左翼人脈から現代文化史を見るというような資料集のような趣きの本ですが、アルチュセールへの言及も多いのはフランスと関係あるのでしょうか。○○も××も「左翼」だった!それを知らずして何も語れない!