個人的にはとても好きな小説です
★★★★★
『老人と犬』、自分にはとても素晴らしいと思える内容でした。
自分は『隣の家の少女』しかケッチャム作品は読んでなかったニワカだからか、
昔からケッチャムのファンである方々のように、
「今までと違う」というようなことは感じませんでした。
私はこの作品を読んで、感動と爽快感が残りました。
わけもなく殺された愛犬レッドのために全てを賭ける老人ラドロウ。
法律云々ではなく、人としてラドロウの肩を持つ、人間味に溢れるラドロウの知人たち。
犯罪者の裁判での判決についてのニュースなどを見聞して、
「こいつにはこんな刑じゃ足らない」など行き場のない腹立たしさを感じたことのある方、
そういった方はぜひ一度手にとってみてください。
ホラーではありません
★★★☆☆
愛犬を目の前で無残に殺された老人が、その犯人である少年たちを追い詰めようとするが…
ネタばれになるのでこれでやめておきますが、この老人が残酷な復讐をするわけではなく、全然ホラーではありません。むごたらしい復讐劇を期待するとがっかりします。
ある意味、硬派の生きざま
★★★★☆
ジャック・ケッチャムの小説には救いがない、というのが定番だ。確かに読後にはやりきれない辛さだけが残るという側面がある(無論、それがケッチャムの小説の良さなのだが)。
しかし、この小説に個人的には、冷静に静かな闘志を心に堅く決め、老犬の復讐を行った老人の硬派な生きざまが、感情表現を限りなく抑制した筆致で、ハードボイルドスタイルで描かれたある種の好感さえ抱ける小説だった。
〜理不尽な行為は許せない。それは苦しめられた人間から戦いを挑まれるのを当然のこととして、ケッチャムは老人を静かに勇気を内に秘め、強い意志をもって貫徹する魅力ある人物を見事に描ききったと思う。〜大部分の現実ではこんな生き方はできない。人は色々なしがらみの中で物事をあきらめ、忘れてゆこうとする。
しかし、自分にとって代えがたいものが理不尽な奪われ方をしたら・・・・。
ケッチャムファンの方には異論があると思うが、僕はこの作品が映画化されるのを見てみたい。
主役はもう少し年齢を経たロバート・デ・ニーロでぜひ見てみたい。
そんな色々な思いを含め、僕はこの小説がかなり好きなのだ。
犬と老人と犬
★★★★☆
目の前で自分の愛犬が殺されてしまう。
普通に生活してる限りではこんなことは起こる筈もない。
それがこの作品では急に理不尽にもこのような衝撃的な予期せぬ事態が起こってしまう。
老人にとって、犬は家族同然であり、最愛の妻との最後の思い出でもあった。
その思い出が急に失われしまう。この喪失感は堪らないだろう...
そして、老人は過去にも家族にかかわる心の傷を負っているである。
毎回ながら理不尽な立場に追い込まれる主人公。
それでもその状況に負けずと勇敢にも立ち向かう姿は読んでて応援したくなる。
そして、ラストにはちょっとした救いが待っている。
もしかしたら、初めてケッチャム作品で淡い感動を覚えたかもしれない。
最後にケッチャムの作品はフィクションだが、
実際に遭った事件をネタにしてることが多い、今作のような事件がもしかしたら、実際にあったのかもしれない。
悲しみ、怒り、復讐
★★★★☆
ダークでバイオレンス揃いのケッチャム作品では、大変に後味の良い作品。不条理で矛盾だらけの法の前ではあまりに無力な老人の正義。暴力という名の悪に立ち向かうには暴力しかない。それは単純明快。全てを賭けて貫く老人の中の正義。その果てに待つものは…