お祭りはなんて楽しいものでしょう。子どもたちはポニーに乗ろうと列を作り…お父さんとお母さんはパイ食べ競争に出て…赤ちゃんたちは木立に向かい…おや！ …一体どこに行こうとしているのでしょう？　ひとりの男の子だけが、その様子を見ています。男の子があとを追うと、赤ちゃんたちは、チョウを追って木立の中へ、カエルを追って沼へ、コウモリを追ってほら穴の中へ向かいます。戻っておいで、というおねがいも聞かずに。でもご心配なく。わたしたちのヒーローが急場を救い、赤ちゃんが全員、わくわくする冒険を終えて、無事に家に帰っていくのを見届けてくれるのだから。

   コルデコット賞受賞のペギー・ラスマンが生み出す創造性ゆたかなお話は、軽快な文と、昼から夕方にかけて変化する、目が覚めるようなさまざまな色の空を背景にした、古典的な黒いシルエットによる大胆で新しい表現で語られている。