一種のバイブル
★★★★★
デパートでの写真展がすばらしかった。一朝一夕に身につくものではないものがそこにあふれていた。日本にこの女性が存在したことが奇跡だ。
自然で暖かな微笑みは慈母と呼ぶにふさわしいが、プライベートの写真にうかがえるちゃめっけのようなものがとても愛らしい。
我々の想像以上の環境で、皇室に嫁いだという信念で凡人には成し遂げがたい努力を重ね続けてこられた、その苦難の道が凛とした気品にあふれた写真の中にうかがえて胸を打つ。
本当のエレガンスがそこにあった。
我々はなんとももったいなく日々を過ごしているのだと反省し、もっと愛情を傾け、ひたむきに努力し、人生を舐めず怠けず、人を妬まず…これは本当に難しい…。
エレガンスは安易に身につくものではなく、たゆまぬ努力と知性によって得られるのだと痛感した。
今、日本に必要なものが、この写真集にあふれている。
お子様方が選ばれた写真はどれも秀逸である。ご一家での乗馬の写真はアクティブな皇室の一面を見事にとらえているし、プライベートの美智子さまの装いや幼い清宮のかわいらしいドレスなどはとても参考になる。
写真だけではなく、写真が撮られた背景の説明や皇后陛下の歌、児童文学とのかかわりなどが掲載され、タイトル通りご一家だけではなく世界の子供たちとのふれあいでいっぱいの一冊。
美智子皇后の幼いころの肖像が、あどけなくも凛とした美少女のその未来を暗示しているようでなんとも胸にせまる。