疑問を解消してくれた著書
★★★★★
代替医療のうち、鍼、ホメオパシー(同毒療法?)、カイロプラクティック、ハーブ医療を各章で、巻末に磁力、アロマセラピー、宝石、風水、瞑想、酸素療法、霊気(手かざし)、指圧、漢方等々をそれぞれ1ページで解説している。
薬品の幅が広い漢方を除き、ほとんどの療法の効果をプラセボのみか害を及ぼすのもある、と一刀両断。もちろん科学的な検証を通過した結果であるので、信頼できる結論である。
昔から上記の療法(特に鍼)が本当に効果あるかどうか、大変疑問に思っていた。鍼療法で医学博士の称号が与えられたり、鍼で神経栄養因子が増えるなどの学会発表を聞くたび、ほんまかいな、とのもやもや感がぬぐえなかった。この本を読んで、全てプラセボ(偽薬)効果と変わらないとの結論を知り、胸のつかえが下りた気がする。中国で鍼麻酔「だけ」で患者に心臓手術をした例のトリックの種明かしもある。
最も痛快な実験。9歳の小学生が霊気の存在を否定する実験を学校の科学の授業で行なった。結果の論文は査読のある医学雑誌に投稿され、受理、出版された。当然反論があり「こんな簡単な実験で証明できるわけがない」と。簡単な実験でも証明できないほうがおかしい、と考えないのか。
プラセボ効果があるから良いではないか、の反論は「医師は患者にプラセボ効果をまず与えなければならない。投薬と医療はそれに加算される。プラセボ効果を与えられない医師は病理医になるべき」。
私は読まなかったが訳本はすでに出ているので、そちらでも理解できると思う。一般読者はもちろん、臨床医に強く勧めたい。患者が代替医療の効果をたずねたら、この本を勧めることもできる:金の無駄ですよ、いや、療法によっては健康を害しかねませんよ、と。
英文は大変読みやすく、簡潔である。医学に精通していなくても十分読破できる。