対談の中でこそ浮かび上がる視点のユニークさ
★★★★☆
西洋美術史の大家が語る日本の美の本質とは_。各界の専門家との対談の形をとり、テーマと対談相手によって、問題提起や視点のオリジナリティには差がある。山口昌男との対談「『見立て』と日本文化」、磯崎新・河北登志夫・橋本典子との「『間』ー関係性を創出するエネルギーの場」の二章が特に素晴らしい。祭礼とは切り離せない日本美術の本質を「見立て」というカミとの関係性、さらに「間」という「場」の創造エネルギーの中で関係し合うものが何か、新しい光が与えられている。日本における西洋美術史の第一人者として、数々の名著を生んできた高階氏の他の著作にはない、こうした切り口は、対談だからこそ提示し得たものだと思う。