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マンガ産業論

価格: ¥497
カテゴリ: 単行本
ブランド: 筑摩書房
Amazon.co.jpで確認
雑誌の世代マーケティングから見たマンガ史 ★★★★★
 雑誌マンガ市場が団塊世代の年齢上昇を軸に変化してきたことを論じている。分析としては詳細で、視点も明確である。メジャーリーグとも言うべき主力雑誌に対して、新人を供給する二次市場の存在の重要性を主張する。
 出版史で置き去りにされがちな戦後の貸本市場の意義を認めた点で、第1部は、たいへんおもしろい。(ただし、貸本は、赤本のような印刷物だけでなく、手書きの唯一ものを書店間で流すロードショー式のものも多くあり、マンガ家の間口が広かった話が落ちている。)
 第二部は、マンガの三〇年。雑誌の盛衰を基礎に、作品の変遷を論じる視点は、重要である。が、多用な情報を整理するのがいっぱいいっぱいで、構造的な整理はできていない。
 第三部は、マンガ産業の明日、ということだが、第一部の敷衍で、話にまとまりがなく、当然ながら、結論もない。出版社の編集者が酔って言いそうな話の羅列で、読む価値はない。
 マンガというと、単行本になった後の作品論がレトロスペクティヴに語られがちだが、手塚を含め、その時代の厳しい産業条件の中で描き続けるすごみに着目したことは、他のマンガ論にないオリジナルの主張だろう。
すばらしい労作。 ★★★★☆
戦後マンガ史を各種統計、単行本etc....の多用な素材をもとにごくごく丁寧に「マンガ産業」の誕生から現在までを描きだしている手腕は見事であり、かなりの労作であると言える一作だと思う。

おそらくマンガ研究にとっても価値のある研究だったろうし、一般読者の読み物としても一定以上の興味関心を引くデータにあふれている。

だが、惜しいのは、データ等をもとに議論を構成していくのは素晴しくはあるのだが、データから確実に言えることのみでは、議論の幅に厚みをもたらすことに充分に成功しているとはいえず、議論の幅に厚みを持たせたいがために脇の甘い議論をかなりしているのが残念なところだ。どうも、現在流通しているマンガの言説の再生産、焼き直しを言っているだけなのではないかと思われる箇所が少なからず見受けられる。

もちろん、一般書として売っているのだからアカデミックなガリガリの根拠のある議論ばかりをする、という方向性にいくわけにもいかないのだろう。
これは、中野氏への批判というよりも、中野氏が議論の幅に厚みを持たせようとしたときに、説得力を持って参照できるような面白い先行研究がマンガ研究の分野であまり多く蓄積されていない、などといったことに原因が求められるのかもしれない。マンガ研究史にもっと蓄積がたまったときに、またもう一度読みたいと思わせる本だ。

そして、(循環的なコメントになるが)そのような未来のための礎石として、本書は有意義な仕事となることだろう。

マスメディア概論としても読める本書 ★★★★★
本書の概略は Amazon に記載されているレビューにあるので、ここでは記載しない。
本書が「産業論」と銘打っているにも関わらず、非常に読みやすい理由のひとつは、読者が夢中になって読んだマンガを題材として書かれているからだろう。
マンガが制作されていた当時の時代背景を知ることで、マンガのストーリー展開が出版社の営業戦略とその時代の嗜好性の変化、社会制度の変化までが浮かび上がってくる。

本書を読んでいて気が付いたのが、マンガと音楽が陥っているジレンマに似ていることである。

・日常生活でマンガや音楽が過剰なほどに供給されているにも関わらず、業界全体の売上縮小傾向に歯止めがかからない。
・マンガ作品の切り売り(音楽CDの場合は、コンピレーションアルバムなど)をすることによって、新しいマンガの販売機会を失っている現状。
・収益を確保する目的で著作権管理を強化するほどに落ち込む利益。新しい販路を求めて、海外のマーケットを開拓努力する出版社(レコード会社)。
・出版社は利益があっても、作者(音楽ならば歌手や作曲家、アレンジャーなど)がなかなか儲けられない仕組み(それには様々な要因が挙げられている)。
・敢えてメジャーデビューをせずに、マイナーなまま作家性にこだわり続ける作り手の増加(これは良作であっても、一般の人にはなかなか知ることができない)。

等々。
最終章では、なぜマンガの売上が落ちているのか、どうしたらマンガの売上が伸びるのかを論じているが、著者自身も有効な手だてはないと思っている論調で本書は締められている。
確かに、私自身のマンガ読書量は減るどころか、増えている。しかし、購入せずに立ち読みだけで済ませてしまうことが多い。その理由は、一冊全てのマンガ(週刊誌)を読むには耐えられない内容の連載が多いからだ。だから、2~3作品を読み終えたら、他誌を再び立ち読み…の繰り返しになる。

マンガ自体はなくならないだろうが、最近の行政や司法、消費者団体の暴力や性表現などを理由にした露骨な表現規制などもあり、マンガ業界の厳しさはしばらく続くのだろう。

マンガ産業への警鐘 ★★★☆☆
この本を読むと、マンガ産業の構造が良くわかり、興味深い。
マンガ文化はなくならないと思うが、このまま衰退していくのでは?
確かに、昔ほど面白いと思うマンガは少ない。
そんな我々の懸念に、答えてくれる本でもある。
マンガ産業は衰退するのか ★★★★☆
~手塚治虫や赤本、貸本など戦後マンガ史研究では現在第一人者といえる中野氏が、コミック市場の歴史的変遷をたどりながらマンガ産業について論じた本で、産業としてのマンガを考えるうえでこの本の内容は必ず知っておくべき基礎知識でしょう。
ここでは中野氏の主張の中で明らかに間違っていると思われることを指摘します。
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日本人の活字離れの責任は枝葉末節の解読にこだわる国語教育の責任と言っていますが、これが事実かどうかはこの本でもっと検証すべきだったしょう。物語のおもしろさは国語教育をしなくても身につくものでマンガでなくてもゲームで覚えるものであり、夏目表現論で明らかにされているように、手塚マンガ自体が中野氏の言っている「枝葉末節」の面白さ、言いか~~えれば文学性、ひいてはマンガ性の本質を備えているのです。これは商品的に見れば最も重要な付加価値のひとつなのです。
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マンガが真の国際競争力を持つためには、子どもの時点からリテラシーを学ぶこと、つまり初等教育からマンガを国語教育、美術教育で教えるという考え方が必要で、マンガは1990年代初めにはそのレベルまで成熟しましたが、残念ながら初等教育の教材に適した作品のほとんどは売れなくて業界も撤退せざるを得ませんでした。
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マンガ業界は児童マンガというものにもっと力を注ぐべきなのです。読者のマンガ離れは雑誌離れとビニールパックがおそらく重要な要因で、マンガが「鉄腕アトム」のメディアミックス戦略以降、いまも依然として口コミや評判によらなければ売れないととらわれている、という構造そのものを改革していくための知恵がマンガ業界にこれから必要とされているのです~~。
少女マンガがテレビドラマやポップス、アニメなど日本の文化産業を牽引したことについて産業論的に考察することはこの本ではほとんどなされていません。少女マンガは中野氏が分け入っていない領域で産業論的にも今後の重要な課題でしょう。~