「解説書なんかいくら読んだって論理の力は鍛えられない」と言って論理の実践的な訓練を推奨する著者が、好評だった前著『論理トレーニング』を編み直して、練習問題を101題にまとめたのが本書である。
今回は練習問題のすべてに解答がつけられ、取り組みやすいよう体裁も整えられている。論理を構成する各概念の解説もとっつきやすい表現に直されていて、前作にあった教科書風の素っ気ない印象が薄まっている。
全体は、「議論を読む」と「論証する」に大別されている。前者では接続表現や議論の骨格について、後者では論証構造や演繹・推測、論証の批判について取り上げている。
本書で身につく論理の力にはさまざまな効用がある。たとえば、論証の段で強調している「異論」(相手の主張と対立するような主張を立論すること)と「批判」(相手の立論の論証部に対して反論すること、対立ではない)の使い分け。ここで双方の言葉の概念を正確にとらえ、練習問題によって使い分けが可能になれば、討論のときなどにきわめて有用だ。本書はこうした論理の奥深い世界に読者を案内してくれる。
教科書として作られた本書に、個人で取り組む人が多いというのもうなずける。ひとり本書に向かって言葉と格闘し、煩悶(はんもん)し、その筋道をたどる作業が論理の力を鍛えてくれるはずだからだ。「頭の回転が速い」とか「知性的」というのは、こうした地道なトレーニングの積み重ねに負うところが大きいのだろう。通勤、通学時の1冊としてもおすすめである。(棚上 勉)
「言葉」と戯れる
★★★★☆
『論理トレーニング』という題から、難しい記号論理学を想像してしまう方もいると思われるが、本書は文章を論理的な構造で読み解いていくという演習本である。
私はどちらかといえば、大学入試で扱われる現代文の問題文に近い感覚で捉えた。その当時から特に、接続詞を意識して文章を論理的に読み解く癖がついていたからであろうか。そういった読解の訓練を受けたことのない方も本書は難しくはないので、肩の力を抜いて、しばし「言葉」と戯れるといった感覚で臨んでみてはいかがであろうか。きっと文章の構造の面白さに気付くはずであり、読書をする際に今まで意識していなかった言葉達のつながりもわかるようになると思う。
論理問題の楽しい旅でした
★★★★★
初めは取り付きにくそうなイメージでしたが、読んでみるととても楽しく読めました。
通勤中に本に書き込みしながらサクサク問題をこなせました。
適切な問題と、著者の気さくな文章が、とても面白いです。
オススメです。
これが本当の「頭の良さ」か。
★★★★★
本当に「頭が良い」とは、こういうのを理解できることをいうのだろう。
考えてみると、世の中の文章の大部分は「論理が通ってない」のではないか。
最初はスラスラ解けて余裕をかましていたが、真ん中らへんであえなく挫折。
アタマワルイ・・・。
101題の問題演習を通じてロジカルシンキングの基礎が体系的に学べる
★★★★☆
良く「吉田ってロジカルだよね」とお褒めの言葉をいただくのですが、いまいち自分がロジカルであることに自信が持てなかったので手を出してみた本。
この本を読み終えて、ロジカルになったかは相変わらずわからないのだけど、少なくとも勉強になりました。
一言で言うと → ロジカルシンキングの基礎トレーニングができる本
この本のいいところ → 101題の問題演習を通じてロジカルシンキングの基礎が体系的に学べる
この本の悪いところ → 高度な問題になってくると、筆者の解釈に納得できないところがでてくる
読むのを薦めるなら → ロジカルになりたい人
楽しめました。
★★★★★
高校を中退した私には、目から鱗の内容でした。大変面白くわかりやすかったです。
さて、以下は法科大学院の入学を考えている方向けへのレビューです。小論文対策、適性の読解対策としては、役不足です。読解がほんとに苦手な私のような者が入門用として使うには最適です。それに対して、高校受験を経験されている方などは、必要ないかもしれません。